総務省は2014年11月23日、「行政機関等が保有するパーソナルデータに関する研究会」がとりまとめた「中間的な整理」を公表した(総務省のWebサイト)。公益や社会一般の利益につながる目的に限って利用を認めるなど、提供元が民間企業である場合と比べて限定的な運用とする。

 同研究会は、内閣官房IT総合戦略本部が2014年6月に決定した個人情報保護法改正の大綱(基本方針)を踏まえ、各省庁や独立行政法人が持つパーソナルデータの扱いを検討する目的で、2014年7月から11月まで8回にわたり開催された。
 
 研究会がまとめた「中間的な整理」では、個人の特定につながるデータを削除するなどの加工で目的外提供を可能にする「個人特定性低減データ」について、行政機関などでは「"公益的目的"のための利活用に限定する」とした。これは、基本的には商業目的でない利用を前提としつつ、医療データを活用した創薬など、社会一般の利益につながる利用も含める。

 個人特定性低減データに加工できるデータは、公営病院の電子カルテのような、民間企業と同等の活動を通じて収集したデータなどに限定する。行政機関が法令等に基づき収集したデータなど、国民から非自発的な形で提供されたものは、低減データへの加工対象には当面含めない。

 低減データの提供に当たっては、提供先がデータから個人を再特定するのを禁止するなどの規律を設ける。具体的な内容は、民間向け規律の検討結果を踏まえて決める。

 現時点では、経済団体が行政保有パーソナルデータの活用について具体的なニーズを挙げていないこともあり、医療データ以外の用途については検討が進んでいない。同研究会は、年内を目処に最終的な報告を行う。