日本の会計基準設定主体であるASBJ(企業会計基準委員会)は2014年11月21日、「IFRSのエンドースメントに関する作業部会」の第18回会議を開催、「修正国際基準(JMIS)」の最終化に向けた作業を開始した。修正国際基準は「日本版IFRS(国際会計基準)」、J-IFRSなどと呼ばれ、IFRSを構成する基準の一部を削除/修正した(エンドースメントした)ものを指す。

 ASBJは約1年をかけて、作業部会で修正国際基準の草案を作成。親委員会での承認を経て、2014年7月31日に公開した(関連記事:姿を現した日本版IFRS、IT各社は新たなビジネスチャンスに期待)。

 草案には8項目の質問を付けており(関連記事:「日本版IFRS」作業部会での議論終了、8項目の質問付きで公開草案へ)、10月31日まで質問に対するコメントを募集した。作業部会では今後、コメントを一つひとつ検討し、必要があれば草案を追加・修正して修正国際基準の最終案を作成していく方針だ。

コメントでは草案におおむね同意

 ASBJに寄せられた草案へのコメントは19件。内訳は、監査法人や日本公認会計士協会(JICPA)、日本経済団体連合会(経団連)などの団体が14件、公認会計士など個人が5件である。

 ASBJによるコメントをまとめた資料では、総論として「エンドースメント手続きの実施については支持する意見が多かった」とする。その理由として、(1)国際ルールであるIFRSを我が国の制度として適用する上で必要な手続きである、(2)我が国におけるIFRSの任意適用を促進するための手続きである、(3)IFRSの内容や影響のより深い理解につながる、を挙げる。

 8項目の質問に対しても、草案におおむね同意する意見が多かったという。

質問1(修正国際基準の構成)
 草案における提案を支持する意見が多い

質問2(エンドースメント手続きの意義)
 基本的に同意する意見が相当数ある

質問3(基準の削除/修正の判断基準)
 削除/修正を必要最小限とすることを支持する意見が多い

質問4(修正会計基準第1号 のれんの会計処理)
 のれんを償却するように削除/修正することを支持する意見が多い

質問5(修正会計基準第2号 その他の包括利益の会計処理)
 ノンリサイクリング(その他の包括利益として認識した株式売却損益などを、当期純損益として認識しない)処理について削除/修正することを支持する意見が多い

質問6(その他の項目の削除/修正)
 のれんとその他の包括利益以外に削除/修正を行うべき項目はないとする意見が多い

質問7(ガイダンス/教育文書)
 ガイダンス/教育文書の開発を支持する意見が相当数ある

※質問8はその他に関するもの