写真1●NECの清水隆明取締役執行役員常務兼CMO(最高マーケティング責任者)
写真1●NECの清水隆明取締役執行役員常務兼CMO(最高マーケティング責任者)
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 「日本の政府機関は2013年度に508万件、6秒に1回のペースでサイバー攻撃を受けた。我々の生活、企業、国を守るためにもサイバーセキュリティを強化していく」――。NECの清水隆明取締役執行役員常務兼CMO(最高マーケティング責任者)は2014年11月19日、同社主催の「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2014」に先立ち開いた記者会見でこのように述べ、サイバーセキュリティ事業を強化していく方針を打ち出した(写真1)。2017年度までにサイバーセキュリティ要員を1200人に増員、関連事業の売上高は現在の約2倍となる2500億円に引き上げるという。

 サイバーセキュリティ事業の強化策第1弾として、2015年第1四半期に、二つの新ソリューションを発売する。一つは、「セキュリティ統合管理・対処ソリューション」。端末やサーバーの構成を管理することで、脆弱性などが発覚した際に、対策が必要となる機器を素早く特定できるようにする。さらに、特定した機器に対して修正パッチの適用やネットワークの遮断といった措置をとる。これらを自動で実施できる仕組みを提供する予定だ。

 もう一つは、「脅威・脆弱性情報管理ソリューション」である。NECの専門部隊が、2013年3月に子会社化したサイバーディフェンス研究所や外部機関、NECが独自に収集した情報などを基に、マルウエアや脆弱性などを分析、必要な対処策と共に提供する。

写真2●NECサイバーセキュリティ戦略本部の松尾好造本部長
写真2●NECサイバーセキュリティ戦略本部の松尾好造本部長
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 二つのソリューションを活用することで、リアルタイムにセキュリティ対策を打てるようになるという。「サイバー攻撃の多くは類似攻撃が占める。迅速に対処できれば、大多数を防ぐことができる」と、サイバーセキュリティ戦略本部の松尾好造本部長は語る(写真2)。

 松尾本部長は、「マイナンバーの運用が始まると、官公庁だけでなく一般企業でも守るべき情報が増えていく」と指摘。サイバーセキュリティへのニーズが高まるという認識を示す。

 NECはサイバーセキュリティ関連事業の売上高を、2017年度に2500億円にする目標を立てる。2013年度実績は約1100億円で、4年間で2倍以上に増やしたい考え。サイバーセキュリティ要員も、現在の約600人から2017年度までに1200人へと倍増させる計画だ。