図●出国・帰国審査における顔認証実証実験の流れ
図●出国・帰国審査における顔認証実証実験の流れ
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 法務省は2014年11月18日、日本人の出国・帰国審査で「顔認証技術」を活用する実証実験の結果と、第三者委員会の評価を発表した。審査場で撮影するカメラ画像と、パスポートに埋め込まれているICチップに格納した顔画像との照合による審査()について、「十分可能性がある」「将来的な可能性を感じる」などと前向きに評価している。今後、実用化に向けた検討が進みそうだ。

 法務省入国管理局は数度にわたって、出国・帰国審査の迅速化のための実証実験を実施した(関連記事:成田と羽田で出入国“顔パス”の実証実験を開始)。今回発表したのは、2014年8月から9月まで成田空港と羽田空港で、日本人約2万3000人を対象に実施した実証実験の結果である。参加したのはサクサ、グローリー、NEC、東芝、パナソニック システムネットワークスの5事業者。

 今回の実験で、審査場のカメラで静止して撮影した場合の誤拒否率(本人を本人として認証しないエラー率)は上位2事業者で1%未満に収まった。「子供の成長などによってパスポートの顔写真から現状が大きく変貌している」といった場合を除いて、おおむね誤認は少なかった。

 ただし、パスポート作成時の顔写真でメガネのフレームに目が重なっていたり、見栄えを良くするために加工したりしている写真を使っていると、誤拒否率が高まる傾向も明らかになった。こうした写真は、国際的な規約で「パスポート用写真としては不適切」とされているが、パスポート発行の現場で徹底されておらず、誤拒否の原因となった。

 法務省の報告書では、「パスポート発給を所管する外務省に対して、顔写真の確認を徹底するよう要請していくことが必要」としている。

法務省の発表資料