NECは2014年11月17日、1ラック当たりの性能を現行機の10倍に引き上げた次世代ベクトル型スーパーコンピュータの開発を始めたと発表した。同社が2013年11月に発売した「SX-ACE」の後継機として、2017年の発売を目指す。

 1ラック相当サイズでの理論演算性能は170テラFLOPS前後と、現行機の16.4テラFLOPSの10倍強を目指す。2009年に稼働した海洋研究開発機構の地球シミュレータ(2代目、131テラFLOPS)を超える性能を、1ラックで実現することになる。性能当たりの消費電力は10分の1以下になる。

 システム全体では、理化学研究所のスパコン「京」を超える13~15ペタFLOPSまで拡張可能にする計画で、これは現行機の約100倍となる。

 NECは次世代機について、大学や研究所単位でなく、研究室単位での導入も狙い、幅広いラインアップを用意する。例えば価格を1000万円未満としたハーフラック相当サイズの製品を投入するほか、水冷版に加えて設置が容易な空冷版も用意する計画だ。

 NECは、現行機「SX-ACE」の直近の年間売上高が約150億円であるところ、次世代機では年間300億円の売り上げを目指すという。