写真1●携帯大手3社の3.5GHz帯設備投資計画の概要。総務省資料から
写真1●携帯大手3社の3.5GHz帯設備投資計画の概要。総務省資料から
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 総務省が年内にも割り当てを予定する第4世代移動通信システム(LTE-Advanced)向け3.5GHz帯120MHz幅について(関連記事:総務省がLTE-Advanced向け3.5GHz帯の割り当て案、携帯大手3社が“当確”へ)、割り当てを希望する携帯大手3社の設備投資額やサービス計画の概要が判明した。

 総務省は2014年11月12日、電波監理審議会を開催。今回の割り当て対象となる3.5GHz帯120MHz幅について、申請締め切り日の10月28日までにNTTドコモ、KDDI/沖縄セルラー電話、ソフトバンクモバイルの3件の申請があったことを審議会に報告した。この際、各社の申請内容の概要についても合わせて示した。

 申請概要によると、各社の3.5GHz帯の設備投資額、サービス開始予定日は写真1の通り。設備投資額はNTTドコモが1821億円、KDDI/沖縄セルラー電話が1676億円とほぼ同程度だが、ソフトバンクモバイルは787億円と一桁少ない額で申請した。ソフトバンクグループの国内設備投資額は、2013年度の7125億円をピークとして「モバイル事業で現金を稼ぐ収穫期が来た」(孫正義社長)としており、2016年度には3750億円まで抑える計画を示している(関連記事:ソフトバンクの2Q決算は増収減益、「現金を稼ぐ収穫期が来た」と孫社長)。同社の3.5GHz帯の設備投資額は、このような方針を反映したものと考えられる。

 各社の3.5GHz帯のサービス開始日については、KDDI/沖縄セルラー電話の2016年6月30日を皮切りに、NTTドコモの2016年10月、ソフトバンクモバイルの2016年12月と続く計画となっている。

 なお総務省が示した3.5GHz帯の開設指針では、認定から2年後の年度末までに、繁華街やターミナルなど特定ひっ迫区域において、最速1Gビット/秒以上の速度を実現可能な「高度特定基地局」の運用を開始するという条件を付けている。この1Gビット/秒を実現するサービスの開始時期については、NTTドコモが2017年3月、ソフトバンクモバイルが2018年3月、KDDI/沖縄セルラー電話は記載なしとしている。

 総務省は3.5GHz帯の開設指針において、120MHz幅を40MHz幅ずつに分けた3枠を用意している。今回、3枠に3件の申請があったことから、携帯大手3社が無風で3.5GHz帯40MHz幅を確保することがほぼ確実となっている。

 ただ120MHz幅における3枠の位置、「Low」「Middle」「High」バンドのいずれかが割り当てられるかについては、審査によって左右される面がある。今回、NTTドコモが3社の中で唯一「Low」バンドを第1希望としている。一方、KDDI/沖縄セルラー電話、ソフトバンクモバイルは「High」バンドを第1希望として競合した。申請内容が審査基準により適合した事業者に希望バンドが割り当てられる。

 実際の審査は早ければ月内、遅くとも年内には完了する見込み。

[報道資料:第4世代移動通信システムの導入のための特定基地局の開設計画に係る認定申請の受付結果の電波監理審議会への報告