米ホワイトハウスは現地時間2014年11月10日、「インターネットの中立性」に関する規則改定を進めている米連邦通信委員会(FCC)に対し、ネット中立性を保護する強力な規則作りを促すBarack Obama米大統領の声明とビデオを公開した。

 Obama大統領は、ISPがすべてのインターネットトラフィックを同等に扱うことがネット中立性の原則だとし、合法的なWebサイトやサービス、コンテンツが遮断もしくは意図的な減速をされるべきではなく、いかなるサービスも料金の支払いによる優先的措置を受けることがあってはならないと強調した。

 FCCは5月15日に、ネット中立性に関する規則制定提案告示(NPRM:Notice of Proposed Rulemaking)を公示し、意見公募を実施した。FCCのTom Wheeler委員長が中心となってまとめた改定案では、コンテンツやアプリケーションの不当な差別や遮断をブロードバンドプロバイダーに禁じる規定「Open Internet Rules」の方針を維持しつつ、インターネット接続事業者が、契約を結んだコンテンツプロバイダーなどを優先的に扱うことを認める内容が盛り込まれている(関連記事:FCC、ネット中立性に関する改定案の意見公募を開始)。

 これに対し、米Googleや米Facebook、米Netflixなど多数の米国インターネット関連企業が反発。「インターネットに追い越し車線(ファストレーン)を設けることは、市場を歪め、革新を妨害し、インターネットユーザーに損害をもたらす」と強い懸念を示している(関連記事:GoogleやFacebookなど米企業団体、ネット中立性の改定案に意見書)ほか、9月10日にはFCCの規則制定に抗議する運動「Internet Slowdown」が実施された(関連記事:Netflixなど多数の米サイトが「インターネット減速デー」に参加)。

 Obama大統領は、「FCCは独立機関であり、その決定は独立したもの」と認めた上で、消費者向けブロードバンドサービスを電気通信法(Telecommunications Act)の「Title II」に再分類して、より厳しい規制を適用することが最良の道だと勧めている。

 これを受け、FCCのTom Wheeler委員長は「大統領の重要な意見に感謝する」との声明を同日発表した。また、電気通信法の「Section 706」とTitle IIを組み合わせた“ハイブリッドなアプローチ”の検討に着手したことを明らかにした。

 Wheeler委員長は最終的判断までにまだ時間がかかることを示唆しており、規則改定の公開は2015年にずれこむと見られている(米New York Timesの報道)。

[発表資料(ホワイトハウス)]
[発表資料(FCC)]