クライムは2014年11月10日、VMware/Hyper-V専用のバックアップ/レプリケーションソフトの新版「Veeam Backup & Replication Ver8」を発表、同日出荷した。新版では、米NetApp製ストレージのスナップショットから仮想サーバーイメージを直接取得してバックアップできるようにするなど、いくつかの機能を追加した。開発会社は、米Veeam Software。

 Veeam Backup & Replicationは、VMware環境またはHyper-V環境で動作している仮想サーバーを、エージェントを使わずにバックアップ/レプリケーションするソフトである(関連記事:クライム、VMware/Hyper-V専用バックアップソフトにWAN高速化を内蔵)。サーバー仮想化ソフトのスナップショット機能と連携して仮想サーバーのイメージファイルを取得し、これをバックアップ先となるストレージなどにコピーする仕組み。転送データ量を削減する手段として、転送データの重複排除や増分バックアップ機能、遠隔レプリケーション向けにはWAN高速化機能を備える。

HP/NetAppのスナップショットから直接バックアップ可能

 今回の新版では、大きく四つの機能強化を図った。一つは、ストレージが備えるスナップショット機能との連携を強化し、連携可能なストレージの種類を増やした。同機能は、サーバー仮想化ソフトを介さずに、ストレージから直接仮想サーバーイメージを取得できるようにする機能である。これまでは米Hewlett-Packardのストレージ製品群(HP StoreVirtual VSA、HP StoreVirtual、HP 3PAR StoreServ)に限って利用できていたが、新たに米NetAppのストレージでも利用できるようにした。

 新版ではまた、バックアップ済みのサーバーイメージを利用して、SQL Serverをトランザクション単位でリカバリーしたり、Active Directoryのデータをオブジェクト単位で抜き出したりできるようにした。前者は、仮想サーバー上で動作しているSQL Serverと連携することで、トランザクションログを含めてバックアップする形になる。このトランザクションログを利用してトランザクション単位でリカバリーする。

 新版ではさらに、仮想サーバーイメージをストレージに格納する際にAES 256ビットで暗号化できるようにした。また、データバックアップ用NAS装置であるEMC Data Domain使用時に、Data Domain専用のエージェントソフト「DD Boost」を利用できるようにした。Data Domainの重複排除プロセスの一部をVeeam Backup & Replication側にオフロードすることによって、Data Domainへの書き込みを最大で50%高速化できるとしている。

 価格(税別)は、バックアップ対象となる仮想サーバーを動作させているサーバー仮想化ソフトのCPUソケットに応じて変わる。標準機能を提供するStandardエディションの場合、CPUソケット当たり13万2000円。バックアップデータからオブジェクト単位で抽出できるほかテープバックアップが可能なEnterpriseエディションの場合、CPUソケット当たり19万8000円。なお、バージョンアップにともなって、2015年以降に値上げする予定としている。