図●国内PCサーバー市場推移(出荷台数ベース)
図●国内PCサーバー市場推移(出荷台数ベース)
(出所:ノークリサーチ)
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 調査会社のノークリサーチは2015年12月22日、国内のPCサーバー市場に関する調査結果を発表した。2015年度上期のPCサーバーの出荷台数は前年同期比1.6%減の23万5180台と前年水準を下回った()。一方、金額ベースでは同1.7%増の1505億円。同社では、仮想化を背景にHDD、SSDやメモリーを多く搭載したサーバーが増加し、平均単価が高まったことが金額増の要因と分析している。サーバーの形状別では、タワーサーバーは同10.4%減の8万670台、ラックサーバーが4.8%増の13万7090台、ブレードサーバーは3.8%減の1万7420台。ブレードサーバーは減少が続いているという。

 同社は、PCサーバーの出荷台数が減少したことについて、仮想化やクラウド移行が進みサーバーの集約化が進んでいること、サーバー買い替えや新規導入のためのエポックメイキングな出来事がなかったことが背景にあると指摘。あわせて、オンプレミスの需要は一定割合存続していて、クラウドとのハイブリッド状態が継続しているとも要因の一つという。

 また、同社はベンダー別のシェアについても調査。1位は富士通でシェア24.8%。形状別ではタワーが31.7%とトップシェアで、ラックは22.6%。直販によるデータセンター向け、公共向け需要などが好調だったという。2位はNECで24.4%。タワーが30.4%、ラックは22.0%。データセンター向けや官公庁向け、地方の中堅・中小企業へのリプレースなどで手堅い実績を積み上げたという。3位はHPで19.8%。タワーは13.8%とシェアを落としたが、ラックは22.7%でトップシェアとなった。

 同社は2015年度通期の予測も発表した。2015年度は前年度比マイナス成長で、50万台を割り込むと分析。集約化や仮想化などがサーバー単価の上昇を継続させており、金額は若干のプラスになると指摘。クラウド、ビッグデータ、IoTなどの新たな動向に加え、景気の回復基調にともなう企業の投資意欲の増加、2020年の東京オリンピックに向けた総合的な先行投資機運が高まりつつあることが期待材料という。

 同社は、2015年度のPCサーバ―市場を支えるポイントとして、ITサービス業やデータセンターのサーバー需要は継続して堅調であること、仮想化や集約化によるインフラ整備と増強のための需要は依然として増加傾向にあることを指摘。好調な企業業績を背景にした投資意欲の向上、クラウドやビッグデータ、IoTなどで新たなサーバー需要の拡大機運があること、2020年の東京オリンピックに向けた総合的な先行投資ブームも追い風になると分析している。

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