シンクタンクの矢野経済研究所は2015年12月21日、国内企業のIT投資に関する調査結果を発表した。それによると、2015年度のIT投資(ハード、ソフト、サービスを含む)は前年度比2.8%増の11兆6350億円と予測した(図1)。同社は、国内民間企業のIT投資は増加傾向にあると分析。法人の景況感は、大企業・中堅企業を中心に明るい見通しが示されているという。

図1●国内民間IT市場規模推移と予測
図1●国内民間IT市場規模推移と予測
出所:矢野経済研究所
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 同社は、今後の動向についても分析。2016年度は同1.1%増の11兆7630億円、2017年度は同0.6%減の11兆6900億円と予測。内閣府・財務省の「法人企業景気予測調査」や日本銀行の「全国企業短期経済観測調査(短観)」など、様々な指標から、同社は大企業や中堅企業を中心に景況感は明るい見通しが示されていると指摘。一方で、中小企業では依然として経済環境に対して厳しい見方が続いているという。

 同社は、注目すべき動向として、情報セキュリティへの投資の意識の高まりを指摘(図2)。今後3年間におけるIT投資の目的(複数回答)について、過去の調査時における回答比率を比べてみると「情報セキュリティの強化」や「システム基盤全体の効率化」、「社内コミュニケーションの強化」、「営業の強化」、「財務会計業務の効率化」といった項目は上位5位にランクされているなか、「情報セキュリティの強化」に対する回答比率が2012年調査時以降、年々上昇傾向にあるという。

図2●今後3年間におけるIT投資の目的(法人アンケート調査結果)
図2●今後3年間におけるIT投資の目的(法人アンケート調査結果)
出所:矢野経済研究所
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 同社では、昨今の企業や団体からの個人情報の漏洩問題などを受け、個人情報の管理・運用体制は対処すべき最重要の課題となっていると分析。こうした背景が各企業や団体における情報セキュリティ対策への投資行動として表れているものと指摘している。

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