調査会社のIDC Japanは2015年12月18日、国内のIT市場に関する調査結果を発表した。それによると、2015年の市場規模は、前年比0.1%増の14兆7837億円にとどまると予測した。

 国内IT市場は、2014年には金融機関などの大型案件とPC更新需要で企業のIT支出が増大したが、2015年にはその反動が顕著になったという。ただし、同社では今後、通信/メディアを除く、ほぼ全ての産業分野でプラス成長が見込まれていると指摘。特に銀行、製造業、小売業、運輸業、サービス業が堅調なIT支出を維持すると分析し、2016年の市場規模を同2.7%増だと予測した。2017年には同2.0%増と堅調な推移を予測している。

 同社は、国内IT市場の動向について、金融セクターにおける大手都市銀行やゆうちょ銀行での大型案件、地方銀行の再編によるシステム統合などの案件、大手金融機関を中心にFinTechやコグニティブなど、ITによるビジネス/サービス革新を進める動きが堅調になっているとした。それらが国内のIT投資をけん引しているという。

 なかでも製造業では、基幹システムの刷新を終えた企業において、グローバルサプライチェーンの最適化や、生産ラインの自動化、設計/開発領域でのデジタル化や標準化が進展。それらを見据えた環境整備へ進む動きが見られているという。オムニチャネル推進が加速する小売業では、それらを実現するプラットフォーム構築やデジタルマーケティングでの投資が拡大すると予測している。

 同社は、ユーザー企業調査の結果も発表した。経営層からIT部門に出される指示に、IoTなどへの取り組みが含まれてきたという。一方で、IT部門の課題には、ビッグデータなど「新たなIT戦略を検討する人材の不足」や「ITを活用する事業に関する知識不足」が上位に挙がっている。同社では、IT部門に経営層から課せられたミッションと、それを実行するためのIT部門の体制にギャップがあるとしている。

 同社では、IT部門の役割が変化していく中で、今後、ITベンダーにはIT部門の課題解決の支援を踏まえた提案が求められると指摘。IT部門のミッション達成に向けて伴走する役割を担うべきであると分析している。

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