調査会社のノークリサーチは2015年12月14日、国内の中堅・中小企業におけるクラウド活用が販社やSIerの選択に与える影響に関する調査結果を発表した。それによると、「クラウドサービスを選定する際、どのような観点で販社/SIerを選ぶか?」を尋ねたところ、年商5億円未満の企業では「クラウド提案の実績が豊富な新規の販社/SIerにクラウド選定を依頼する」が13.8%となった一方、「販社/SIerの支援は受けず、導入/運用は全て社内で行う」という回答が62.5%にも達した()。同社では、年商規模が小さくなるほど、導入/運用を社内で行う企業の割合が高くなっていることを指摘。規模の小さなユーザー企業は自らの努力でクラウドなどのITシステムの情報収集をしなければならなくなっている実態が浮き彫りとなった。

図●クラウド選定とそれを支援する販社/SIerとの関わり
図●クラウド選定とそれを支援する販社/SIerとの関わり
出所:ノークリサーチ「2015年版 中堅・中小企業におけるクラウド活用の実態と展望レポート」
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 同じ質問に対する回答を年商別で見ると、年商が50億円以上100億円未満の企業では、「クラウド提案の実績を持った既存の販社/SIerにクラウド選定を依頼する」が23.1%で最多、300億円以上500億円未満の企業では「社内でクラウド選定を行い、既存の販社/SIerに支援の可否を確認する」が26.2%と最も多かった。

 同社は、いずれの年商規模の会社でも「クラウド提案の実績が豊富な新規の販社/SIerにクラウド選定を依頼する」および「クラウド提案の実績を持った既存の販社/SIerにクラウド選定を依頼する」の回答割合が比較的高いことを指摘。ただし、年商50億円以上になると両者の差がそれほど大きくなくなるという。

 クラウド以外も含めたIT活用全般における「販社/SIerの選択にクラウドがどのような影響を与えるのか?」についても調査している。それによると、「クラウドについても旧来通り既存の販社/SIerに相談する」が19.4%、「従来型とクラウドで既存と新規の販社/SIerを使い分ける」が16.4%、「従来型とクラウドの双方に対応できる販社/SIerを選ぶ」が14.4%となった。

 同社はさらに、販社やSIerがクラウド提案/販売に取り組み理由についても調査。それによると、「顧客からの求めに応じるため」が35.1%、「システムの運用/保守における収益性を改善するため」が28.1%、「システムの開発/構築における収益性を改善するため」が24.6%だった。クラウド提案/販売に取り組まない理由については、「顧客からクラウドを求める声が挙がってこない」が29.8%と最多だったが、本当にニーズがないのか、それとも自社に相談がないだけなのかを見極めることが重要と指摘した。

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