シンクタンクの矢野経済研究所は2015年12月14日、国内のデジタルマーケティングサービスの市場規模(事業者売上高ベース)に関する調査結果を発表した。それによると、2014年はビッグデータを活用したOne to Oneマーケティングを行うユーザー企業の増加などにより、208億円に達した。同社は2015年には前年比30.8%増の272億円になると予測する()。今後は、企業のIT投資が管理・効率化から変革・成長へとシフトしはじめていることがデジタルマーケティングサービスに対する前向きな投資を生み、2020年には2014年比で約2.7倍の559億円に達すると分析した。

図●デジタルマーケティングサービス市場規模推移と予測
図●デジタルマーケティングサービス市場規模推移と予測
出所:矢野経済研究所
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 同社は、デジタルマーケティングサービス市場をDMP(Data Management Platform:データマネジメントプラットフォーム)市場とMA(Marketing Automatino:マーケティングオートメーション)市場に分類して調査。DMPとは、様々な販売チャネルにおける顧客の行動データを集約して分析して顧客の特徴を明らかにし、広告やダイレクトメールなどのマーケティング施策を最適化するシステムやサービスを指す。それに対し、MAとは、大量の見込み顧客や既存顧客を一元化して自動的に評価し、設計したシナリオを自動的に実行させながら、確度の高い商談を創出するシステムやサービスとしている。

 同社の調査によると、2014年のDMPサービスの市場規模は事業者売上高ベースで40億円に達し、2015年には同30.0%増の52億円(同ベース)になるという。消費者のニーズが多様化している昨今、広告会社に頼るだけではなく、企業が自社や第三者が保有するデータを活用して生活者の行動要因を突き止め、自社のマーケティング活動を最適化することへの意識が高まっていると同社は指摘する。そのため、DMPの構築や利用の動きが加速しているという。大手企業でのDMP活用事例が広がりを見せていることも市場への追い風になっていると分析した。

 一方、2014年のMAサービスの市場規模は事業者売上高ベースで168億円に達し、2015年には同31.0%増の220億円(同ベース)になると見込んでいる。企業におけるマーケティング活動の費用対効果が強く意識されるようになったことや、顧客の詳細なニーズに基づいてパーソナライズされたコンテンツを提供する必要性が増したこと、チャネル別に入手したデータの急増によりオートメーションツールがなければマーケティング業務に支障を来すようになったことなどから、MAを導入する機運が高まっているという。

 また、製造業を中心に日本企業の海外売上比率が高くなり、海外営業を支援するためのグローバルなマーケティングプラットフォームが必要になっていることや、引き合いを待つビジネススタイルからの脱却といった目的で、MAを導入する動きも活発化していると指摘。MA市場拡大の一因となっているという。

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