調査会社のガートナー ジャパンは2015年12月9日、2016年以降の日本におけるアウトソーシングとITサービスに関する調査結果を発表しまた。同社では、デジタル・ビジネスの進展により、IT部門は人材とITサービスの調達戦略の見直しを迫られていると指摘。2016年以降の展望として、「アウトソーシング」、「ベンダー管理」、「グローバル・ソーシング」、「社内IT組織体制」の4つのトピックに注目し、日本企業のITリーダーが押さえておくべきトレンドと影響をまとめた。

 それによると、2019年までに、アウトソーシング指向の日本企業の少なくとも3社に1社が「戦略パートナー」の入れ替えを実行する、2019年までに3社に1社以上の企業が、フロントオフィス・アプリケーションの開発/運用のために、IT人材を事業部門に配置するようになるという。

 同社は、日本企業のITリーダーの多くが、IT支出を可視化/最適化しつつ、経営層や利用部門が期待する成果を示す必要に迫られていると分析。ITサービス・ベンダーとの関係にも合理性・妥当性が求められるようになるという。同社が2015年に実施した調査でも、ITサービス・ベンダーとの戦略パートナーシップの確立が、CIOやITリーダーにとってソーシング戦略上の大きな課題となっていることが判明した。

 ただし、同社は多くのIT部門にとって「戦略パートナー」が意味するものは、属人的な見解に基づいているか、長い取引期間などから半ば惰性化した関係となっていると指摘。それを受けて、今後、「戦略パートナー」の入れ替えの動きが広がると分析している。

 また、同社は、日本におけるフルスコープ型アウトソーシングについて、現在でも毎年一定の割合で契約が締結されているものの、そのうち50%近くは、ほかに選択肢がなく、「消去法」の結果として選ばれていると分析した。

 今後、日本ではハイブリッド・クラウドの進展、大規模なシステム統合案件やシステム更改の一巡にともなう人材の需給状況の変化、ITサービス・ベンダーによるサービスの提供技術の革新など、アウトソーシング環境におけるさまざまな変化が見込まれるという。同社では、中長期的にはシステム最適化への投資やデジタル・ビジネスへの対応力など、IT部門に大きな課題が突き付けられることになると指摘している。

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