調査会社のIDC Japanは2015年11月30日、国内のクライアント仮想化関連市場に関する調査結果を発表した。それによると、2015年の国内クライアント仮想化ソリューション市場の規模は3972億円に達し、2019年には7103億円まで拡大すると予測した。同社では、2014年〜2019年の年間平均成長率(CAGR)を11.0%と分析。2016年には、社会保障/税番号制度(マイナンバー制度)、セキュリティ対策(情報漏洩対策)によって、クライアント仮想化の導入が加速するという。さらに、みずほ銀行、日本郵政グループ、東京電力など大型のSI投資が続くことから、同社は今後IT技術者が不足し、クライアント仮想化もその影響を受けると指摘する。

 同社は仮想化導入率も調査している。それによると、法人向けクライアント市場での仮想化導入率は30.4%に達し、2019年には47.2%にまで高まると予測する()。市場の成長要因として、同社はクライアント仮想化ソフトウェア技術の進歩、ネットワークインフラ基盤の拡大、全業種への普及と案件規模の大型化の3点を指摘した。今後、業種/業務別の需要が高まる中で、通常のオフィス用途だけでなく、工場に配備される専用デバイス、銀行などの店舗に設置するATMなどを含むIoT(Internet of Things)デバイスでも仮想化が進行すると分析している。

図●国内法人向けクライアント仮想化市場における導入率予測
図●国内法人向けクライアント仮想化市場における導入率予測
出所:IDC Japan
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 同社では2016年に「クライアント仮想化第4世代」が到来すると予測する。クライアント仮想化を包含したワークスペース製品/サービスが顕在化し、その中でWeb技術、三要素認証、コンテナ技術なども活用されると分析している。さらに、情報漏洩対策を重視する銀行、運用管理を効率化したい工場の生産ライン、生産性を向上させたい小売店など、それぞれに設置されたデバイスに仮想化技術が活用され、自動車、ロボット、IoTデバイスへの利用も検討されるという。民間企業のみならず自治体、官庁、あるいは教育機関(大学など)にCIOやCIOに準ずる人材の配置と専任化がさらに進み、IT部門の付加価値が向上し、ITがより重視されるようになると分析している。

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