シンクタンクの富士キメラ総研は2015年11月27日、ディスプレイとその関連市場に関する調査結果を発表した。それによると、LCDやOLED、VFDを合わせたディスプレイ市場は2015年に12兆3753億円に達する。市場は微増傾向が継続し、2020年には2014年比6.4%増の12兆7569億円にまで拡大するとした。

 同社によると、ディスプレイ市場は「高解像度化」「薄型化」「広色域」などをキーワードとした開発が加速し、2013年まではスマートフォン、タブレット端末向け出荷数量の好調が続いたという。しかし、タブレット端末向けは2014年以降伸びが鈍化し、2015年も苦戦している。ただし、市場に明るい材料がないわけではなく、同社では今後、LCD(特にLTPS TFT)とAMOLEDがハイエンドのスマートフォンを中心とした需要を獲得し、市場をわずかながらけん引すると予測している。

 同社はタイプ別の市場動向も分析した。2015年のLCD市場は11兆3494億円にとどまった。大型TFT(テレビ、PC、タブレット端末、パブリック/サイネージ向け)は、テレビ向け出荷数量は微増となるものの、タブレット端末向けが減少し、市場の伸びは鈍化するという。2020年には同0.8%減の11兆1017億円にまで減少すると予測した。

 一方、2015年のOLEDディスプレイ市場は9995億円に達するとした。大型AMOLEDは、ハイエンドタブレット端末への採用が増えたことで出荷数量、金額ともに伸びているという。中小型AMOLEDも中国のスマートフォンを中心に採用が増加しており、出荷数量、金額とも前年比プラスと予測した。同社は今後、TFTとの差別化から、フレキシブル製品を軸とした展開が進み、2020年には同2.2倍の1兆6430億円に拡大すると指摘している。

 用途別では、スマートフォン向けは出荷数量の増加が続いているものの、中国のスマートフォン市場が飽和状態に向かいつつあるという。単価も大幅に下落していることから、2015年は金額ベースで前年比マイナスとなる見込みだ。

 テレビ向けは、PDPやCRTからLCDへの需要シフトがほぼ終了し、市場は成熟したとしている。2015年はPDPの生産終了にともない微減が見込まれる。

 車載向けはTFTの採用拡大で安定した成長が継続するという。スマートウオッチは各種ディスプレイを採用したモデルが活発に製品化されており、2015年のスマートウオッチ向け市場は、AMOLEDの採用が伸びていると指摘した。

 なお、今後の増加が期待されるのは、4K/8K テレビ向けディスプレイ市場。2015年は同5.7倍の3660万枚に達し、2020年には1億831万枚に拡大すると予測した。

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