米IDCが現地時間2014年11月25日に公表したパソコン市場に関する調査によると、2014年の世界における出荷台数は前年から2.7%減少し、3億670万台になる見通し。

 同社が8月に公表したリポートでは、2014年の出荷台数が同3.7%減の3億350万台になると予測していたが、第3四半期(7~9月期)の出荷台数が前年同期に比べ0.5%減と小幅な減少にとどまったため、予測を上方修正した。ただし第3四半期の結果は、中・長期に及ぶ力強い成長を示すものというよりは、短期的な回復と見られている。パソコン市場の先行きは不透明だとIDCは指摘している。

 同社は、世界のパソコン市場を、成熟国市場(米国、西欧、日本、カナダなど)と、新興国市場(日本を除くアジア太平洋地域、中南米、中・東欧、中東、アフリカなど)に分けて調査している。

 推計によると、2014年における成熟国市場の出荷台数は1億4270万台で、前年に比べ7.1%増加する見通し。一方、新興国市場は前年比9.9%減の1億6390万台になるという。

 このうち、成熟国市場では第3四半期に西欧と日本で予想を上回る出荷台数を達成した。だが、これは前年からの反動や、第4四半期に向けた在庫の積み増しと、「Windows XP」のサポート終了に伴う買い替えといった短期的な要因によるもの。成熟国市場の出荷台数は2015年に再び減少し、市場規模は今後4年の間に若干縮小すると同社は予測する。

 また、今年の第3四半期は、消費者市場の出荷台数が予想を上回った。ただし、それでも2014年における消費者向けパソコンの年間出荷台数は5%減少すると同社は見ている。成長が鈍化しているタブレット端末の影響は減少しているものの、消費者の可処分所得をめぐって、ファブレットなどのスマートフォンとの競争が激化しているという(関連記事:[データは語る]2014年の世界タブレット市場、成長率が52.5%から7.2%に大幅鈍化)。

 IDCのシニアリサーチアナリスト、 Jay Chou氏よると、過去数四半期の間、「Windows 8.1 with Bing」によって、エントリーレベルの製品種が増え、消費者向けパソコンの出荷台数が増加した。米Googleの「Chromebook」も同様に、法人向け低価格製品の出荷増に寄与した。だが、それでも市場は安定した出荷台数に向けた回復の途中という段階。2018年までの予測期間に大きな成長の可能性はないだろうと同氏は述べている。

 なお、IDCが言う「パソコン」とは、デスクトップパソコンや、取り外し可能なキーボードを備えないノートパソコンのことを指す。これにはAndroidタブレットや米AppleのiPadのほか、米MicrosoftのSurface Proも含まれない。

[IDCの発表資料]