調査会社のIDC Japanは2015年11月26日、スマートフォンとタブレット、PCを合算した国内のモバイル/クライアントコンピューティング市場に関する調査結果を発表した。それによると、2015年上半期の出荷台数は、前年同期比8.3%減の2277万台にとどまった。同社は、2014〜2019年の年間平均成長率(CAGR)を3.1%と分析。2019年には通年で5836万台にまで拡大すると予測した。

 同社は、端末別の動向についても調査。それによると、2015年上半期のスマートフォン出荷は、同14.1%増の1305万台と堅調。同社は、従来の携帯電話(フィーチャーフォン)と同様のきょう体でAndroidベースのスマートフォンの出荷が始まった点に注目。フィーチャーフォンは、2017年以降、対応する半導体の生産が終了する可能性があり、同製品は今後フィーチャーフォンからスマートフォンへ切り替えていくための布石の製品になると指摘した。同社は、今後これらの機種によりスマートフォンへの切り替えが促進することが期待され、2014〜2019年のCAGRを4.7%と予測した。

 タブレットの2015年上半期の出荷は、同0.6%増の399万台。ビジネス市場は教育市場向けの出荷やB2B2Cの用途により、前年同期比2桁のプラス成長となった。ただし、家庭市場は大画面のスマートフォンやキラーアプリケーション不在による需要の低下から、2桁のマイナス成長になったという。同社では、2014〜2019年のCAGRについて、日本郵政による高齢者向けタブレットや教育市場などビジネス市場がけん引し、3.3%に達すると予測した。

 PCの2015年上半期の出荷は、同39.2%減の573万台と大幅減。2014年のWindows XPのサポート終了に伴う買い替え需要や消費増税による買い替え需要の反動に加え、急激な円安の進行によってベンダーのコストが上昇し、ユーザーが求める価格とベンダーが提示する価格のギャップが拡大したことが主な要因と分析した。同社は、こうした影響は2016年まで続くと予測。ビジネス市場を中心に、2017年以降には需要引き下げ要因が緩和し、2020年にはWindows 7のサポートが終了することから、これに向けた買い替えが促進されると分析している。同社は、2014〜2019年のCAGRを0.1%と予測した。

 同社は、国内モバイル/クライアントコンピューティング市場の稼働台数についても調査。それによると、稼働台数は、2014年の1億5563万台から2019年には2億15万台に拡大すると予測。2014〜2019年のCAGRを5.2%と分析した()。このうち、スマートフォンの稼働台数について、2014〜2019年のCAGRを11.3%と指摘。タブレットの稼働台数は、2014〜2019年のCAGRを6.9%と予測した。

図●国内モバイル/クライアントコンピューティング市場の製品別稼働台数予測
図●国内モバイル/クライアントコンピューティング市場の製品別稼働台数予測
出所:IDC Japan
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