シンクタンクの矢野経済研究所は2015年11月13日、国内のヘルプデスクアウトソーシング市場に関する調査結果を発表した。ヘルプデスクアウトソーシングサービスとは、パソコンやソフトウエアなどのIT関連製品の使用方法やトラブルに関する問い合わせ対応業務を代行するサービスのこと。同社では、2015年度の市場規模を2281億6000万円と見込んでおり、今後も市場は微増で推移するとした。2013年度から2018年度にかけて年平均成長率(CAGR)を0.8%と分析し、2018年度には、2319億5000万円になると予測した。

 同社では、ヘルプデスクアウトソーシング市場の動向について、ITアウトソーシング化の進展から、クラウドサービスやデータセンターサービスに対するサポート需要は増えていると分析。一方で、顧客の社内にあるPCやクライアントサーバーシステムのサポートに対する需要は、縮小トレンドにあるとした。その背景には、以前に比べてPCの初期設定や操作が格段に容易になっていること、サポートの必要性が低いタブレットなどの簡易設定型の端末が普及していることがあるという。顧客の社内でのヘルプデスクサービスへのニーズが減少しているだけでなく、企業の従業員やシステム担当者を対象としているヘルプデスクサービスではオフショア化が進展しており、サービス単価が低下しているとした。

 一般消費者(社外のユーザー)向けのヘルプデスクサービスでは、スマートフォンなど商品の出荷数が増えている分野ではサービスの利用も増加している。ただし、ISPのように新たな契約者の増加を見込みにくく、今後の需要増を期待しにくい分野が多いこと、スマートフォンなどのアプリをはじめとしてサポートの必要性が低いサービスが増えていることから、一般消費者向けのヘルプデスクサービス全体としても微増の推移に留まると予測している。

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