図●IT投資DIと経常利益DIの全体変化
図●IT投資DIと経常利益DIの全体変化
出所:ノークリサーチ
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 調査会社のノークリサーチは2015年11月10日、中堅・中小企業におけるIT投資に関する調査結果を発表した()。2015年10月時点と7月時点とを比較すると、IT投資意向を示す指標である「IT投資DI」が6.8から0.6ポイント減少し6.2ポイントに、経常利益DIが10.0から2.6ポイント減少し、7.4ポイントに下落。2014年10月から2015年7月にかけて、徐々に改善を続けてきた2つのDI値がどちらも減少した。

 調査では今四半期以降のIT投資予算額が前四半期と比べてどれだけ増減するかを企業に尋ね、「増える」と「減る」の差によって算出した「IT投資意欲指数」を「IT投資DI」とし、同時に前回調査時点と今回調査時点を比較した場合の経常利益変化を尋ね、「増えた」と「減った」の差によって算出した「経常利益増減指数」を「経常利益DI」として、それぞれの推移を調べた。

 経常利益DI値がマイナス2.6ポイントだったのに対し、IT投資DI値がマイナス0.6ポイントにとどまったことについて、マイナンバー制度の導入がなかったら、IT投資DI値も経常利益DI値と同程度の下げ幅になっていた可能性もあると分析。ベンダーにとっては、マイナンバー制度は商機ではなく、むしろ最小限の負担で実施可能な対応策を提案すべきと指摘。顧客が少しでもメリットを得られるように個人情報保護やセキュリティ対策の推進につながる支援を行うことが大切という。

 一方、同社は、年商別のIT投資DIの推移についても調査。2015年7月~2015年10月では、年商300億円以上~500億円未満の企業では8.4ポイントから6.2ポイント上昇の14.6ポイントに増加したものの、他の年商帯ではいずれもIT投資DI値が下落した。その要因について、同社では企業の売上が低迷し、IT投資費用を捻出できないことや、景気が本当に回復するかをもう少し見極めたいといったことがあると指摘している。

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