米IDCが現地時間2015年10月29日に公表した世界のタブレット端末市場(2-in-1型を含む)に関する調査によると、同年第3四半期(7~9月)の出荷台数(速報値)は4870万台となり、前年同期から12.6%減少した。世界のタブレット端末出荷台数はこれで4四半期連続の前年割れとなった。

 IDCプログラムディレクタのRyan Reith氏は、「スマートフォンの所有台数が増え続け、大型化、高性能化しつつある今、小さなフォームファクタの従来型タブレットの必要性は曖昧なものになっている。市場は転換期を迎えているようだ」と指摘している。

 こうした状況に対応するため、メーカー各社は着脱式タブレットなど新たなフォームファクタに注目しつつあるという。着脱式端末のタブレット市場全体に占めるシェアはまだ1桁台にとどまるが、今後1年半の間に急速に伸びると同社は予測している。

 2015年第3四半期のメーカー別出荷台数を多い順に見ると、米Appleが990万台(前年同期比19.7%減)、韓国Samsung Electronicsが800万台(同17.1%減)。これに中国Lenovo Group(聯想集団)の310万台(同0.9%増)が次ぎ、このあと台湾ASUSTeK Computer(ASUS)の190万台(同43.4%減)、中国Huawei Technologies(華為技術)の180万台(同147.9%増)と続いた。

 このうちAppleは依然首位を維持しているが、「iPadが究極のタブレットとしてあがめられる時代はおそらく終わった」とIDCは指摘している。iPadは自社製品と競合するほか、パソコンメーカーの着脱式端末との競争も激化しており、これらが出荷台数減少の要因になっているという。ただしAppleはまもなく大画面タブレット「iPad Pro」を発売する(関連記事)。タブレット市場はコンテンツ消費型からプロダクティビティ型に移行しつつあることから、このiPad Proが明るい兆候をもたらす可能性があるとIDCは予測している。

 一方、Samsungはその継続的なマーケティング活動が奏功し、競合Appleとの差を縮めることに成功したという。同社は高価格帯のAndroidタブレットを手がける数少ないメーカーの一つだが、その出荷台数の大半は低価格端末が占めている。ただ、市場が着脱式端末に移行する中、別売りキーボードも用意する「Galaxy Tab S2」(関連記事)などの新端末を相次ぎ市場投入するなど、同社もタブレットの成長分野に注目していると、IDCは分析している。

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