調査会社のIDC Japanは2015年10月19日、国内企業におけるITインフラの仮想化に関する調査結果を発表した。それによると、サーバー仮想化を既に実施している企業では、仮想サーバー上で稼働しているアプリケーションの割合が平均で53.2%に達した。これは、2014年の調査から4ポイントの上昇という。同社では、財務/会計管理システムや販売/顧客管理システムなど、基幹業務システムでのサーバー仮想化の導入率が2014年調査よりも上昇していることから、仮想環境が拡大していると指摘した。

 同社では、ネットワーク仮想化とストレージ仮想化の実施状況についても調査。その結果、サーバー、ネットワーク、ストレージ全てのITインフラリソースを仮想化している企業は28.3%となった。サーバーとストレージでの実施は16.1%、サーバーとネットワークでの実施は10.1%だった。これらを合わせると、54.5%と過半数を超えた()。

図●ITインフラセグメント別の仮想化実施状況(2015年調査と2013年調査の比較)
図●ITインフラセグメント別の仮想化実施状況(2015年調査と2013年調査の比較)
出典:IDC Japan
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 一方で、サーバーだけの仮想化を実施している企業は45.5%にとどまった。同社では、半数以上の企業はサーバーのみの仮想化だけではなく、ネットワークあるいはストレージにおいても仮想化を実施している状況にあると指摘。2013年の調査と比較すると、サーバー以外の領域での仮想化実施率が大きく上昇し、ITインフラ全体での仮想化が着実に進んでいると分析した。

 なお、ネットワーク仮想化による効果が大きかった上位3項目は、「ネットワークの設定作業負担の軽減」、「ネットワークの冗長性/可用性の向上」、「ネットワーク構成の柔軟な変更」となった。一方、多くの仮想サーバーを運用している企業では、「VLANの拡張」が上位に挙がった。

 ストレージ仮想化による効果が大きかった上位3項目では、「ストレージ容量の有効活用」、「ストレージコストの削減」、「ストレージ管理の一元化」という結果となった。

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