調査会社のノークリサーチは2015年10月19日、国内の中堅・中小企業における給与・人事・勤怠・就業管理システムの利用実態に関する調査結果を発表した。それによると、2015年の製品別シェアでは、OBCの「給与奉行/人事奉行/就業奉行i/i8/21シリーズ」が前年比2.7ポイント増の18.3%と、前年2位からトップとなった。前年トップだった弥生の「弥生給与」は同2.2ポイント減の14.8%で2位に後退した(図1)。

図1●中堅・中小企業における給与・人事・勤怠・就業管理システムの2015年の製品別シェア
図1●中堅・中小企業における給与・人事・勤怠・就業管理システムの2015年の製品別シェア
出典:ノークリサーチ「2015年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」
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 前年4位だった大塚商会の「SMILEシリーズ」は同2.4ポイント増の8.4%で3位に浮上し、一方で、前年3位だった富士通の「GLOVIA smart 人事給与/smartきらら人事給与」は1.5ポイント増だったものの、シェア7.8%で4位となった。

 こうした結果を受け、ノークリサーチは上位ベンダーのシェア争いに大きな変動が見られないと指摘した。同社はその理由を次のように分析した。中堅・中小企業における給与・人事・勤怠・就業管理システム活用は、売上増やコスト削減といった戦略的な理由より、法制度への対応が主な役割となることが多い。そのため、製品やサービスの選定においても「費用負担を抑えて現状を維持する」という方針になりやすいという。

 同社は、導入した中堅・中小企業が現時点で抱えている最も重要な課題についても調査。それによると、「導入後の保守/サポート費用が高価である」が10.6%で最多。続いて、「導入時の初期費用が高価である」が10.4%、「バージョンアップ時の費用負担が高価である」が7.8%、「各種の法制度変更に迅速に対応できていない」が5.8%、「自社の業務に合わせて独自の機能を加えることができない」が5.5%と続いた。

 ユーザー企業が求める製品・サービスの機能や特徴についても調査した。その結果、「バージョンアップ時の費用負担が安価である」ことを求める企業が38.4%と最も多かったが、次いで、「導入後の保守/サポート費用が安価である」ことが33.7%、「マイナンバーに求められる業務に対応できる」ことが27.9%と続いた(図2)。

図2●給与・人事・勤怠・就業管理システムの活用で中堅・中小企業が抱える最も重要な課題
図2●給与・人事・勤怠・就業管理システムの活用で中堅・中小企業が抱える最も重要な課題
出典:ノークリサーチ「2015年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」
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 同社では、マイナンバー制度はセキュリティ関連ツールなど、一部のIT活用領域では需要増も期待されると指摘。その一方で、給与・人事・勤怠・就業管理システムを開発・販売するベンダーや販社、SIerにとっては「自社の顧客を失わないために、顧客側の費用負担を最小限に抑えつつ的確な対応が求められる取り組み」となっていると分析した。

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