米Gartnerと米IDCは現地時間2015年10月8日に、それぞれ世界のパソコン市場に関する調査結果(速報値)を公表した。それによると、同年第3四半期(7~9月)はドル高の影響で価格が上昇したほか、Windows 10の及ぼす影響が最小限に抑えられ、出荷台数は引き続き前年割れとなった。

 Gartnerの調査では、第3四半期の出荷台数は7372万8000台となり、前年同期に比べ7.7%減少した。第3四半期にリリースされたWindows 10は、既存パソコンの同OSへのアップグレードが中心的なものになり、新規パソコンの購入を促進するものにはならなかった。またGartnerの主席アナリスト、北川美佳子氏によると、ドル高によってパソコン価格は年間を通して約10%上昇した。これが引き続き、EMEA(欧州、中東、アフリカ)、日本、中南米における需要低迷の要因になった。

 一方IDCが公表した2015年第3四半期の出荷台数は7097万6000台で、前年同期から10.8%減少した。IDCもドル高の影響や、OSと在庫の移行期が要因となり、パソコン販売は振るわなかったと報告している。

 なおIDCが定義する「パソコン」とは、デスクトップパソコン、ノートパソコン、超薄型ノートパソコン、Chromebook、ワークステーションなど。これにはiPadなどのタブレット端末や、Windows、Android搭載の着脱式キーボードを備えるタブレットは含まれない。一方Gartnerは、同社が「Ultramobile Premium」と呼ぶ機器をパソコンのカテゴリーに入れており、これにはSurface ProなどのタブレットPCも含まれる。

 2015年第3四半期のメーカー別出荷台数はIDC、Gartnerともに、中国Lenovo Group(聯想集団)が首位で、そのあと米Hewlett-Packard(HP)、米Dell、米Apple、台湾Acer(宏碁)と続いた。

 IDCによると、パソコン市場全体の出荷台数は前年同期比で2桁減少したものの、上位4社の合計は同4.5%減にとどまった。規模による優位性、ポータブル機への注力、新興国市場における流通チャネルの浸透、小規模メーカーの市場からの撤退、といった要素がこれら大手を救ったとIDCは分析している。

 なおGartnerは、Windows 10の効果は第4四半期(10~12月)に表れ、年末商戦の時期はパソコン販売が促進されると予測している。またIDCは、Windows 10は新規パソコンの長期的な需要を喚起し、2016年以降の市場の安定化に寄与すると予測している。

[Gartnerの発表資料]
[IDCの発表資料]