図●国内クラウドサービス市場規模の実績・予測(出典:MM総研)
図●国内クラウドサービス市場規模の実績・予測(出典:MM総研)
[画像のクリックで拡大表示]

 シンクタンクのMM総研は2015年9月24日、国内のクラウドサービス市場に関する調査結果を発表した。それによると、2014年度の市場規模は、前年度比23.8%増の7749億円と大幅増。同社は、今後もユーザーの新規ビジネスでのクラウド活用や社内既存システムのクラウド移行が継続すると分析し、2019年度までの年平均成長率(CAGR)を21.7%と算出。2015年度の市場規模を9696億円、2019年度には2014年度比2.7倍の2兆679億円の市場に成長すると予測した()。

 同社は、クラウドサービスの普及の一方で、ユーザーのクラウド導入における運用コストやクラウドへの移行コスト、セキュリティに対する懸念をクラウドサービス事業者が払拭できていないことも指摘。それらが、クラウド普及の阻害要因となっているという。

 特に、パブリッククラウド(SaaSおよびIaaS/PaaS)やホステッド・プライベートクラウドを利用していない企業の理由について、運用コストやクラウドへの移行コスト、情報漏えいに対する不安があるためと分析。ユーザーがシステム基盤における「所有」と「利用」のトータルコストを比較して、慎重に見極める姿勢が鮮明になっているという。クラウドサービス事業者がセキュリティ面を含め、クラウド利用のメリットを積極的に示して利用障壁を緩和していく必要があると指摘している。

 パブリッククラウドのIaaS/PaaSを基盤として活用している法人ユーザーが利用するサービスについても調査した。それによると、「Amazon Web Services(AWS)」が41.4%と最も多く、年々増加傾向にあるという。2014年に国内データセンターからの提供を本格的に開始した「Microsoft Azure」は前年調査時より10ポイント以上利用率が上昇した。

 ホステッド・プライベートクラウドでは「Enterprise Cloud」(NTTコミュニケーションズ)が17.0%と最多となった。IaaS/PaaSでは、AWSをはじめ、グローバルなスケールメリットを背景に、価格、先進技術・サービス、マーケティングでリードする事業者が上位を占め、特に海外勢のクラウドサービス事業者が上位3社を占める結果となったという。

MM総研の発表資料へ