図●ITアウトソーシングサービスの市場規模予測(出典:矢野経済研究所)
図●ITアウトソーシングサービスの市場規模予測(出典:矢野経済研究所)
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 シンクタンクの矢野経済研究所は2015年9月14日、国内のITアウトソーシングサービス市場に関する調査結果を発表した。それによると、2014年度の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比0.5%増の3兆8350億円に達した()。同社は、2013年度〜2018年度にかけて同市場が年間平均成長率0.7%で推移すると分析。2015年度には同0.2%増の3兆8434億円に、2018年度には同1.1%増の3兆9509億円にまで拡大すると予測した。

 同社は、全体的な市場動向について、ITアウトソーシングサービス全体としては微増だが、サービスのセグメント別ではデータセンター関連サービスの利用が増加していると分析。オンサイト運用保守サービスからデータセンター関連サービスへの切り替えやシフトが、ユーザー企業で進んでいると指摘した。

 同社では、データセンター関連サービスの利用が進んでいる理由として、2011年の東日本大震災以降、事業継続対策を目的として、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定し、堅牢なデータセンターを利用するユーザー企業が増加していると指摘。多様なアプリケーションや画像・映像データの使用機会が増加したことで、ユーザー企業が抱えるデータ量が年々増加しているのも、データセンターの利用が増加している背景にあるという。

 また、企業経営に対する各種法規制の強化にともない、企業に求められる情報管理の重要性が高まっていること、複雑化したシステムマネジメントをデータセンター事業者にまかせるユーザー企業が増加していることなども要因と指摘している。

 一方で、オンサイト運用保守サービス市場が縮小しているのは、クラウドコンピューティングの普及やデータセンター利用の進展により、オンサイトにサーバーを設置しない企業が増加していることが影響しているという。

 また、IT機器の単価の下落がオンサイト保守サービス料金を低下させていることや、仮想化技術の普及によりサーバー、ストレージ、ネットワーク機器までが統合され、IT機器の台数が減少傾向にあることを理由に挙げている。

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