図●業務システム端末の利用率(年商5~50億円)
図●業務システム端末の利用率(年商5~50億円)
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 調査会社のノークリサーチは2015年9月8日、中堅・中小企業のPC、スマートフォン、タブレット端末の利用状況に関する調査結果を発表した。それによると、年商5億~50億円未満の企業では、ノートPCの導入率が90.2%と大半だったものの、スマートフォンも56.3%、タブレット端末も37.5%の導入率となった()。

 また、同社は、1年後を想定した場合に「PCとスマートデバイスの台数比率をどうするか?」の方針についても調べた。「スマートデバイスの比率を増やす」と回答したのは、年商5億円未満の企業ではわずか4.8%だったのに対し、年商50億円以上100億円未満の企業では28.9%と約3割に達した。企業規模や業種によって、ユーザ企業が望むPCとスマートデバイスの比率には、大きな違いがあることが明らかになったという。

 また、同社は、年商50億円以上100億円未満の企業で、今後、スマートデバイスの割合を増やしていきたいと考える企業が多いことを指摘。その背景について分析した。それによると、36.2%の企業がタブレット端末などの導入で「新しいビジネス形態を模索したいから」と回答しているという。

 一方、同社は個人所有の端末を業務で利用する「BYOD」が端末調達コストを抑える上でも有効な選択肢の一つとされていることから、BYODに関する中堅・中小企業の考え方も調査した。「1年後を想定した場合、企業所有端末と個人所有端末の台数比率をどうするのか?」という質問に対し、年商5億円未満では「個人所有の端末を増やし、端末管理も個人に任す」という企業が9.6%だったのに対し、年商50億円以上100億円未満ではわずか1.2%。反対に「企業所有端末の比率を増やし、端末管理は企業が担う」という企業の割合は、年商5億円未満では4.1%だったが、年商50億円以上100億円未満では15.7%に達した。

 一般的に企業が個人所有端末を活用する目的は、端末の購入費用や管理費用を軽減するためと考えられている。しかし、同社は「端末の購入費用を節約できるから」という回答をした企業の割合が意外に低いことを指摘。一方で「セキュリティ対策を講じやすいから」と回答した企業は、個人所有の端末を増やし管理も個人に任せようとしている企業の中でも34.6%、企業所有の端末を増やし管理も行うとした企業の61.8%と割合が髙かった。同社では、費用削減の効果よりも、セキュリティ対策を重視する企業が多く、個人所有端末の活用は必ずしもコストメリットが高いとは言い切れないと指摘。それが、中堅・中小企業において「BYOD」が進まない大きな要因の一つであると分析した。

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