シンクタンクの富士キメラ総研は2015年8月28日、ビッグデータやIoT関連ソリューション分野で新たな需要が期待されるセンサーの世界市場に関する調査結果を発表した。それによると、2014年度の市場規模は4兆5771億円で、個数は311億4000万個に達した。同社では、今後もスマートフォンと自動車への搭載数の増加により市場は拡大を続けると分析。2019年度には2014年度比21.4%増の5兆5576億円、個数では同34.4%増の418億6000万個にまで拡大すると予測した。

 同社は、世界のセンサー市場について、スマートフォンやウエアラブル端末といったモバイル端末や自動車などの需要分野も搭載数も拡大基調にあると指摘。センサーの種類では、味覚センサーや脳波センサー、脈波センサー、指紋センサーなど、ウエアラブル端末などへの搭載が考えられる生体センターの伸び率が高くなると分析した。

 同社は2019年度には、味覚センサーは2014年度比144.4%増、脳波センサーは同142.9%増、脈波センサーは同107.1%増、指紋センサーは同92.0%増と、いずれも約2倍~2.5倍に増加すると予測。味覚センサーは、日系企業が世界に先駆けて製品化したこともあり、国内需要が世界市場をけん引しているという。同社は、国内での有効活用事例や認知度向上、試験導入による実用性の評価により海外においても今後、普及が期待されると指摘している。

 脳波センサーは玩具向けが中心であるが、同社では、脳科学や心理学などのアカデミック領域の研究が進むことで介護福祉におけるコミュニケーション、スポーツにおけるメンタルトレーニング、電動一輪車などの次世代モビリティなどへの採用が期待されると分析した。

 脈波センサーと指紋センサーでは、バイタルデータを用いた健康管理やセキュリティ対策でのスマートフォン向けが中心であるという。特に指紋センサーは、搭載が進んだことで急拡大している。また、脈波センサーはウエアラブル端末にも利用されている。

 一方、ビッグデータやIoTにおけるセンサーの活用が注目されるのは、医療・ヘルスケアの分野であるという。ウエアラブル端末向けでは、先行して立ち上がったスマートウオッチでバイタルデータの計測を行うセンサーとして加速度センサーや脈波センサーなどが利用されている。また、健康管理に特化した端末では、呼気や口腔内のガスを測定することで健康管理や疾病予防への活用できるガスセンサーなども、今後の採用が進展すると期待されている。