シンクタンクの富士キメラ総研は2015年8月26日、法人向けスマートデバイス(スマートフォン、タブレット端末)に関連するビジネス市場についての調査結果を発表した。それによると、法人向けのスマートデバイス販売、関連アプリケーションサービス、通信やセキュリティ・保守サービスなど、スマートデバイスに関連するビジネスの国内市場は、2014年度に5820億円に達した。同社では、2015年度以降は、SIMカード提供タイプのMVNOサービスが徐々に法人向けにも浸透し、市場を牽引していくと分析。2019年度には、2014年度日2.1倍の1兆2084億円にまで拡大すると予測した。

 同社は、各サービスごとの動向も分析。スマートデバイス販売では、新規需要が依然として堅調で、既にスマートデバイスを導入している企業からのリプレース需要も期待されると指摘。2015年に発売予定のWindows 10により、PCからスマートデバイスへの移行もあって、市場は拡大すると分析している。

 アプリケーションサービスはライセンス/サポートとシステムインテグレーションに大別され、ライセンス/サポートはモバイルPOSなど店舗運営支援ソリューションの伸びが期待されるという。

 同社は、法人向けスマートデバイス市場に占める各OSのシェアも発表した。2014年度は、iOSが67.0%、Androidが23.9%、Windowsが9.2%。2019年度には、iOSが59.4%にまでシェアを落とすが、一方でAndroidが24.4%、Windowsが16.2%へと増加すると分析した。種類別にみると、タブレット端末ではWindowsタブレットが新製品の発売により2013年以降法人利用が増加しているという。Androidタブレットは、単一アプリケーションを利用する専用端末としての需要が増加すると予測。セキュリティ面が懸念されるが、単一アプリケーションを利用する場合は対策が講じやすいという。

 また同社は、スマートデバイス関連で注目のサービスとして、店舗運営支援ソリューションと名刺管理ソリューションを挙げている。店舗運営支援ソリューションでは、2014年度に28億円だった市場が2019年度には2014年度の5.4倍の152億円にまで拡大すると分析。売上管理、商品管理、顧客管理、ポイント発行などを行うモバイルPOS、受けた注文のキッチンへのオーダーをホールスタッフが行うモバイルオーダリング、来店客が自ら行うモバイルセルフオーダリングの普及が見込まるという。

 一方、名刺管理ソリューションでは、2014年度に53億円だった市場が2019年度には同2.1倍の113億円にまで達するとした。名刺データをマーケティングや営業活動に有効活用する傾向が強くなっていることから、今後は電話帳などのボイス系アプリケーションとの連携も進み、市場はさらに拡大していくと予測した。

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