シンクタンクの富士キメラ総研は2015年8月20日、国内の企業向けソフトウェア市場に関する調査結果を発表した。これは、業務システム系、情報分析系、情報共有系、ミドルウェア系、データベース系、運用・管理ツール系、基本ソフト系の7種類のソフトウェアの市場規模に関する調査。それによると、2014年度の市場規模は、合計で9626億円に達した。

 同社では、景気回復によるIT投資の拡大で大手企業を中心に業務システム系のリプレース、情報分析系システムなど戦略的システムの新規導入が進んだと指摘。それにともない、システム基盤の見直しも行われ、市場が拡大したという。今後は、情報分析系と情報共有系、基本ソフト系が伸びると分析。2019年度には、2014年度比26.6%増の1兆2191億円にまで拡大すると予測した。

 カテゴリー別の調査結果も発表。それによると、業務システム系の2014年度の市場規模は2584億円。主要品目である財務・会計/人事・給与/販売・在庫管理/生産管理では、既に多くの企業で業務システムの導入が進んでおり、リプレースを中心に安定的した伸びとなっている。2019年度には、同じ25.7増の3247億円にまで拡大すると予測した。

 情報分析系の2014年度の市場規模は575億円。経営環境をリアルタイムで把握するため、またビッグデータを活用して競争優位性を高めるために需要が増加し、2019年度には同35.7%増の780億円に達するという。情報共有系の2014年度の市場規模は1499億円。主要品目のグループウェアにおいて、パッケージ販売からSaaSへの移行が増加しているという。2019年度には同33.9%増の2007億円と予測した。

 また、ミドルウェア系は、好調なIT投資によりシステム基盤のリプレース、新規システムの立ち上げが進み、2014年度の市場規模が1519億円にまで増加。同社では、今後もビッグデータを活用するためのデータ連携対応、SaaSやIaaSなどとのシステム連携への対応、IoT関連システムにおけるデータ連携やデータ高速処理対応に関する需要が増加すると分析。2019年度には同30.6%増の1984億円に達すると予測している。データベース系、運用・管理ツール系、基本ソフト系も堅調に推移するという。

 一方、同社は、注目市場として「勤怠管理ソフト」、「BIツール」、「グループウェア」の3つを挙げた。勤怠管理ソフトの市場規模は、今後、労働基準法順守の動きなどから増大すると予測。2014年度の市場規模は90億円だったが、2019年度には53.3%増の138億円にまで拡大するという。

 BIツールの2014年度の市場規模は252億円。多くの企業で世界規模でデータをリアルタイムで把握し分析する必要性が高まっていることから今後も市場は拡大。2019年度には同32.5%増の334億円に達すると予測した。

 グループウェアの2014年度の市場規模は600億円。クラウドの進展でパッケージ型グループウェアからSaaSへの以降が進行すると予測。2019年度には52.5%増の915億円にまで拡大するという。