図●国内パブリッククラウドサービス市場のセグメント別売上額予測
図●国内パブリッククラウドサービス市場のセグメント別売上額予測
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 調査会社のIDC Japanは2015年8月6日、国内のパブリッククラウドサービス市場に関する調査結果を発表した。それによると、2015年の市場規模は前年比29.5%増の2516億円に達し、2019年には2014年比2.8倍の5404億円にまで拡大する見込みとなった()。

 同社は、国内のパブリッククラウドサービス市場の動向についても調査。まず、IaaS(Infrastructure as a Service)では、これまで開発環境や一般消費者向けWebサイト/アプリケーションの稼働環境として利用されることが多く、この動向が国内パブリッククラウドIaaS市場の成長をけん引してきたと指摘。一方で、2014年以降からは、既存の業務アプリケーションをIaaS上に実装し稼働させるクラウドイネーブルドの動向が加速傾向にあるという。

 並行して、業務アプリケーションの稼働に必要なミドルウエアやシステム基盤ソフトウエアのIaaS上での動作検証やライセンス体系の整備も進んでいると指摘。現在、開発環境/Web向け用途と、既存業務アプリケーションのクラウドイネーブルドが両輪となり、国内パブリッククラウドIaaS市場の成長を促進していると分析した。

 同社は、国内のパブリッククラウドSaaS(Software as a Service)市場も順調に推移していると指摘。なかでも、モバイル対応に優れたコラボレーティブアプリケーションやCRM(Customer Relationship Management)アプリケーションは「クラウドファースト」が浸透。また、SaaS ERM(Enterprise Resource Management)アプリケーションも急速に発展しているという。

 2014年以降、外部システムとの連携性が向上し、ユーザー企業の利便性が向上した。今後、国内のパブリッククラウドSaaS市場が、モバイル対応やシステム間連携といった特徴で成長を維持すると予測している。

 同社は、これまで「デジタル産業革命」を起こせるのは、「高い技術力」や「資本力/資金力」と「ビジョン」、そして「強いリーダーシップ」を兼ね備えた「特殊な企業」であると考えられてきたと指摘。ところが、パブリッククラウドサービスの発展によって、起業/新規事業に求められる「技術力」や「資本力/資金力」の障壁が大きく低下しているという。そのため、ビジネスアイデアを持つ一般的な企業や開発者が、デジタル産業革命を起こすためのソリューションやサービスを提供できるようになったと分析している。

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