シンクタンクの富士キメラ総研は2015年7月29日、教育機関向けのICT関連市場に関する調査結果を発表した。それによると、2014年度の市場規模は、前年度比2.2%増の1640 億円に達した。同社では、各都道府県において2013年度までに教育のICT化に向けた実証実験が実施され、その結果を踏まえて2014年度に関連設備やインフラの導入が進み、市場が拡大したと分析している。

 2020年度にかけて、授業支援システムをはじめ、校務支援システムや園務システムの導入がさらに進み、市場は安定して伸びると指摘。2020年度には、2014年度比46.5%増の2403億円にまで大きく拡大すると予測した。

 同社では、製品・サービスのカテゴリ別に市場動向を分析。それによると、電子黒板の2014年度の市場規模は51億円で、2020年度には2014年度比5.9%増の54億円に達すると予測。電子黒板には、30インチ以上の液晶/PDPモニターにインタラクティブ機能を搭載したFPD型、ビジネスプロジェクターにインタラクティブ機能を内蔵したプロジェクター(以下、PJ)内蔵型などがあるが、同社ではPJ内蔵型が低価格であることから入札案件に強く、小中学校への導入が大幅に増加していると分析。2015年度はPJ内蔵型を投入するメーカーの増加もあり、引き続き高い伸びが見込まれるという。一方、FPD型は安定した需要に加え、新製品の投入も予定されていることなどから微増と予測した。

 また、タブレット端末の2014年度の市場規模は20億円。ただし、2020年度には同10.5倍の210億円にまで拡大すると予測した。タブレット端末を教育現場で活用する取り組みでは、2010年度から総務省が「フューチャースクール推進事業」を展開。2020年度内に、生徒一人に1台のタブレット端末の普及を目指して導入が進められている。同社では、需要が急速に高まっていることを背景に、2020年年度までに市場が急拡大すると予測している。

 また、「フューチャースクール推進事業」によるタブレット端末の整備にともない、授業支援システムの市場規模も拡大。2014年度の市場規模は16億円だったが、2020年度には同15.6倍の250億円にまで達すると予測している。一方、デジタル教材(デジタル教科書)の市場規模は2014年度に30億円で、2020年度には同2.4倍の72億円に拡大するという。

 なお、同社では、ICT教育の進展にともない、ネット上での安全性、セキュリティに対する需要も高まっていると指摘している。