図●今後5年間におけるデータセンター投資の増減見込み
図●今後5年間におけるデータセンター投資の増減見込み

 調査会社のIDC Japanは2015年7月28日、国内のデータセンターの状況に関する調査結果を発表した。それによると、今後5年間でデータセンター投資を「増加させる」と回答したのは、データセンター事業者44社のうち65.9%、一般企業274社のうち23.7%となり、いずれも「減少させる」を大きく上回った()。「減少させる」と回答したのは、データセンター事業者で2.3%、一般企業で5.1%に過ぎなかった。同社では、データセンター事業者の投資拡大傾向は強いと分析している。

 今回の調査は、企業や公的機関のデータセンター管理者を対象としたもので、金融機関や製造業などの一般企業が所有するデータセンターと、ITサービス事業者や通信サービス事業者などが所有する事業者データセンターの両方が対象。

 同社は、データセンター事業者が今後重点的に投資を行う分野についても調査。それによると、「データセンターの新設/増設/拡張」など「データセンター能力の増強」と、省エネ対策強化や運用自動化、不要なデータセンターのシャットダウンといった「データセンターの運用効率化」が多くあがったという。

 同社では、データセンターサービス市場は拡大していると同時に競争が激化していると指摘。データセンター事業者は、設備の増強だけでなく、運用効率を改善して投資収益率を確保しようとしているという。

 一方、同社は、一般企業のデータセンターが抱える課題として、「電力コストの削減」をあげた。それを裏付ける結果として、調査対象の一般企業274社のうち、消費電力の計測を行っていないデータセンターの比率は36.1%にものぼったという。このことから、同社は一般企業のデータセンターでは電力消費状況を正確に把握していないことが、運用効率改善を阻害する要因となっていると分析している。建設コストの上昇や電気料金の値上がりで、データセンターの運用コストは上昇傾向にあるという。同社は、今後は既存のデータセンター設備の運用効率を改善して、設備の有効活用を図ることが重要であると指摘している。

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