調査会社のIDC Japanは2015年7月27日、国内IT市場の地域別動向に関する調査結果を発表した。これは、官公庁、教育、一般消費者向けを除いた、企業向けを中心としたIT市場の地域別動向をまとめたもの。

 それによると、2015年は、2014年のPC更新需要の反動により、東京で1%以下、近畿地方で0.5%程度の成長が見込まれるほかは、全てマイナス成長になると予測()。特に北陸新幹線に伴う市場拡大が一段落する北陸/甲信越地方、生産拠点の海外移転が進む中国/四国地方、九州/沖縄地方においては、IT支出が伸び悩むという。同社は、大都市圏とそれ以外の地域間の二極化は、円安の進展により量的、質的の両側面においてさらに拡大していると指摘している。

図●国内IT市場の地域別前年比成長率予測(出典:IDC Japan)
図●国内IT市場の地域別前年比成長率予測(出典:IDC Japan)
[画像のクリックで拡大表示]

 同社は、円安の進展による影響について、2015年は、東京を中心とした首都圏をはじめ、名古屋、大阪、福岡などの大都市圏にある輸出比率の高い大企業では、業績がプラスとなりIT投資が増えると分析。一方で、それ以外の地域では、原材料費の高騰により業績が圧迫されている企業が多いという。同社によると、中小企業の中には2015年のIT支出をほぼやめてしまったところもあるという。

 同社では、業績が改善した大企業の多い大都市圏では、第3のプラットフォームによる戦略的ICTソリューションへのニーズが増えていると指摘。一方、それ以外の地域では、地域活性化をもたらす第3のプラットフォームを活用した公共ソリューションが、マイナンバー対応後の市場のけん引役となることが求められていると分析している。

IDCの発表資料へ