米Gartnerが2016年7月11日に公表したパソコン市場に関する調査(速報値)によると、同年第2四半期(4~6月)における世界のパソコン出荷台数は6430万台となり、前年同期から5.2%減少した。パソコンの四半期出荷台数は、これで7四半期連続で前年実績を下回った。ただし市場はいくらか回復の兆しを見せているという。

 Gartnerの主席アナリスト、北川美佳子氏によると、これまでパソコン市場にあった問題は、一部の地域における対ドル通貨安を起因とする価格の上昇だった。この問題は昨年、EMEA(欧州、中東、アフリカ)や中南米のパソコン市場に影響を及ぼしていたという。しかし、今年第2四半期におけるパソコン出荷台数の落ち込みは、過去数四半期に比べ穏やかになっており、通貨安の影響は縮小しつつあるようだと、同氏は述べている。

 第2四半期は、北米を除くすべての地域で出荷台数が減少した。とりわけ中南米は不安定な政治と経済が要因となり、市場は依然低調という。また6月23日に英国で実施された欧州連合(EU)離脱是非を問う国民投票は、第2四半期の世界パソコン市場に大きな影響を及ぼさなかった。しかしこのブレグジットの問題は通貨のみならず欧州域外の経済全体に不安定をもたらす恐れがあると同社は指摘している。

 第2四半期のメーカー別出荷台数は、中国Lenovo Group(聯想集団)、米HP、米Dell、台湾ASUSTeK Computer(ASUS)、米Appleの順となった。首位のLenovoの出荷台数は1320台で、前年同期比2.2%減。2位のHPは1228万台で同1.8%増。3位のDellは979万台で同3.1%増。ASUSは470万台で同1.3%増、Appleは456万台で同4.9%減だった。

 一方、別の調査会社である米IDCも同日、2016年第2四半期の世界のパソコン出荷台数(速報値)を公表した。それによると、同四半期の出荷台数は6240万台。前年同期から4.5%減少したものの、IDCが先に予測していた減少率(7.4%)ほどの落ち込みではなかった。

 またIDC、Gartnerともに第2四半期は米国の出荷台数が回復したと報告している。その出荷台数は、IDCのリポートでは1703万台で前年同期比4.9%増、Gartnerのリポートでは、1522万台で同1.4%増。IDCによると、米国における第2四半期のメーカー別出荷台数は、HP、Dell、Lenovo、Apple、台湾Acer(宏碁)の順。このうちApple以外の4社はいずれも前年同期から出荷台数を伸ばした。

[Gartnerの発表資料]

[IDCの発表資料]