図表●ERPパッケージライセンス市場の市場規模推移と予測
図表●ERPパッケージライセンス市場の市場規模推移と予測
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 シンクタンクの矢野経済研究所は2015年7月9日、国内ERPパッケージ市場に関する調査結果を発表した(図表)。それによると、2014年のERPパッケージライセンス市場は、前年比6.2%増の1080億6000万円(エンドユーザー渡し価格ベース)。ここ数年、堅調な成長を維持しているが、伸び率は2012年の2桁増から減少傾向にあるという。ただし2015年の市場規模については、消費税増税前の駆け込み需要の反動減からの回復が見込まれること、マイナンバー制度導入による市場の活性化が期待されることから、同8.2%増の1169億2000万円(同)にまで拡大すると予測した。

 ERPパッケージの国内市場の動向について、2008年のリーマンショックを契機に大幅に落ち込んだものの、2011~2012年頃から回復基調となったと分析。多くのユーザー企業が、景気停滞によって先延ばしにしたERPの導入に再び着手し、2012年には伸び率が2桁を達成したと分析している。

 ERPへの投資回復が一巡する5年程度は、このトレンドが継続すると見込んでいたが、伸び率は2012年以降に減少傾向に転じたという。2015年の段階で、市場の成長は終盤に近づくと予測している。

 一方、2015年以降のERPパッケージライセンス市場におけるトレンドとして、矢野経済研究所はクラウド化の進行を挙げている。ERPは、CRMやグループウエアなど情報系のシステムと比較してクラウドの利用率が低い業務分野だが、2014年頃からはユーザー企業のニーズの変化が見られ、ERPをクラウドで利用する企業が増えていると分析。特に、クラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)が採用されるケースが多くなっているという。また、有力ベンダーがSaaSによるアプリケーションの提供サービスを強化する動きも進んでおり、2015年以降にERPのクラウド利用に弾みがつくと予測している。

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