調査会社の矢野経済研究所は2015年7月6日、日本、米国、中国、西欧主要5カ国(イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン)の乗用車向けテレマティクス市場に関する調査結果を発表した。テレマティクスとは、「テレコミュニケーション:Telecommunication(通信)」と「インフォマティクス:Informatics(情報科学)を組み合わせた造語。自動車などの移動体に通信システムを組み合わせてリアルタイムに情報サービスを活用することが可能となる。今回の調査では、2019年には日・米・中・西欧主要5カ国における乗用車向けテレマティクスサービス用端末(カーナビ、PND、DA、バックミラーモニター)の搭載台数が5080万9000台に達すると予測。各国の新車販売台数の約8割に搭載されるという()。

図●日本、米国、西欧主要5カ国、中国における乗用車向けテレマティクス端末搭載台数推移(出典:矢野経済研究所)
図●日本、米国、西欧主要5カ国、中国における乗用車向けテレマティクス端末搭載台数推移(出典:矢野経済研究所)
[画像のクリックで拡大表示]

 同社では、乗用車向けテレマティクスサービスにおいて、ITやスマートフォン事業者が参入している現状を指摘。自動車メーカーを中心に行われてきたテレマティクスサービスが、オープンなネットワークで、より幅広い情報を提供するサービスへと進化してきていると分析した。この背景には、スマートフォン連携機能を利用した情報サービスの利用が本格化していることに加え、外部のサーバーと車載機を連携させるためのクラウド環境が整備されてきたことがあるという。こうした流れの中、新たにテレマティクス保険やカーシェアリングサービス、タクシー配車サービス、各種のビッグデータを活用したサービスなど、「自動車新ビジネス系テレマティクスサービス」も提供され始めてきているという。

 また同社は、これまで自動車メーカーや関連メーカーがエンターテインメント・利便系テレマティクスサービスを提供してきたが、今後はスマートフォン大手OSベンダー2社をはじめとするIT・スマートフォン業界の事業者が提供すると予測。走行系テレマティクスサービスにおいても、自動車メーカーおよび関連メーカーに主導されるものの、電気自動車などにおいては一部、IT・スマートフォン業界の事業者の参入が予測されるという。

矢野経済研究所の発表資料へ