図●MVNO市場規模実績(契約回線数)
図●MVNO市場規模実績(契約回線数)
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 調査会社のMM総研は2015年6月17日、携帯電話などの無線通信インフラを自社で保有せずに、他社のインフラを借りて音声通信やデータ通信のサービスを提供しているMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)に関する調査結果を発表した。

 それによると、MVNOサービスの総契約回線数は、2015年3月末時点で3045万回線となり、2014年3月末(1480万回線)から105.7%増加。同社では、2013年3月末に初めて1000万回線を突破してから、わずか2年間で3000万回線に達したと指摘。急速に市場が拡大しているという。MVNOサービスの契約回線数は、引き続き、順調に伸長していくと予測した()。

 同社は、2015年3月末時点の契約回線数を回線種別に分類。その結果、WiMAXとAXGPの広帯域移動無線アクセスシステム(Broadband Wireless Access:BWA)が1892万でシェア62.1%と最多となった。携帯電話(3G/LTE)は1135万で同37.3%。PHSは18万回線でシェアはわずか0.6%にとどまった。2014年3月末時点では、携帯電話が730万回線で同49.3%とBWAの726万回線を上回っていたが、2015年3月末時点ではBWAの回線数が逆転した。

 BWAカテゴリでは、MNOでもあるMVNO向けの回線数が大きく伸長した。AXGP回線では、ソフトバンクモバイル向けに提供するWireless City Planningが契約回線数を引き続き増加。WiMAXとWiMAX2+を提供するUQコミュニケーションズは、提供先のKDDI(au)がWiMAX2+対応のスマートフォンを2014年夏モデルから販売を開始した効果もあり、この1年間で大きく契約数を伸ばしているという。

 一方、MVNO市場の中でも注目を集める「低価格SIM」を含む独自サービス型SIMの回線契約数についても調査。それによると、2015年3月末で326万回線に達したという。2014年3月末時点では173万回線だったので、1年間で回線数は88.4%増加したことになる。同社によれば、全キャリアの回線契約数を合計したモバイル市場全体は、2015年3月末で1億7670万回線で、そのうち独自サービス型SIMは構成比で1.8%に過ぎない。

 ただし、同社は、普及阻害要因である「サービス認知度の低さ」「端末調達ハードルの高さ」「購入チャネルの少なさ」「サポートの弱さ」が改善されつつあると指摘。今後の急速な普及が期待され、あわせて、訪日外国人の増加にともない、利用期間や利用可能容量が限定されたプリペイドSIMの販売数も拡大傾向にあるという。同社は、2020年のオリンピックへ向けて、さらなる需要の拡大が期待されると指摘している。

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