調査会社の矢野経済研究所は2015年6月16日、国内のクラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場に関する調査結果を発表した。それによると、2014年のクラウド基盤サービス市場は、事業者売上高ベースで前年比49.3%増の906億円に拡大した。同社は、2015年以降もこの市場が高成長を維持すると予測。2018年には2900億円に達すると予測した。

 同社は、2014年のクラウド基盤サービス市場について、大企業を中心にハイブリッドクラウドやマルチクラウドといった手法の利用が拡大していると分析。クラウドを適材適所に利用することで、クラウド基盤の活用範囲が広がり、市場の大幅な拡大を後押ししているという。

 企業システムのクラウド化が進行している中、一方では、ユーザー企業のオンプレミス(自社運用)に残るシステムも存在している。そのため、複数のクラウドを適材適所に使い分けるハイブリッドクラウド/マルチクラウドに対するニーズが高まっているという。同社では、こうしたクラウドの選択や最適化を支援する存在に「クラウドインテグレーター」や「クラウドブローカー」があり、クラウドビジネスの成長に不可欠な存在になっていると分析。クラウド基盤サービス提供事業者のエコシステム拡充に貢献し、ビジネス拡大に寄与しているという。

 また同社は、クラウドインテグレーターやブローカーの参入事業者数が増加傾向にあることから、事業者間の競争が激しくなってきていることも指摘している。そのためクラウドインテグレーターやブローカーはユーザー企業に対し、次々に提供される新しいサービスの選択や改善方法、また最適化を提案する力が求められているという。

 同社では、クラウド基盤サービスは利用企業が増加しているだけではなく、すでに利用中の企業でも利用範囲が拡大していると分析。また、IoTによる利用も増加傾向にあることなどから、2015年以降も高成長を維持すると予測した。

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