米IDCが現地時間2016年6月2日に公表した世界のタブレット端末市場に関する調査によると、同年の年間出荷台数は前年実績から9.6%減少し、2015年に続き前年割れとなる見通し。タブレット市場は2017年も低迷が続き、回復が見られるのは2018年からだと同社は予測している。

 IDCはタブレット市場を、「スレート型」と呼ぶ従来型端末と、着脱式キーボードが用意されている「デタッチャブル型」の2つのカテゴリーに分けて分析している。現在の市場における出荷台数は8割超が前者のスレート型だが、このカテゴリーの製品が伸び悩んでいることがタブレット市場全体の不振につながっていると同社は指摘している。

 一方でデタッチャブル型は急成長しており、その市場全体に占める比率は現在の16%から2020年には31%に拡大するとIDCは見ている。このカテゴリーでは従来のパソコンメーカーのほか、スマートフォンメーカーが相次ぎ製品を投入しており、競争が激化しているという。

 ただ、スレート型にも一定の需要があり、2020年までは年間1億台を超える出荷台数を維持するとIDCは見ている。この分野を支えるのは、画面サイズが9インチ未満の小型端末。その平均販売価格は昨年の183ドルから2020年には157ドルに下がると予測している。

 これに先立ち同社が公表していた2016年1~3月期の世界タブレット端末出荷台数(速報値)は3960万台で、前年同期から14.7%減少した。同社によると、1~3月期の落ち込みは、季節的な要因と消費者の購買意欲の低下が原因。

 また1~3月期のメーカー別出荷台数は、米Appleが1030万台で首位を維持したものの、その台数は前年同期から18.8%減少した。Appleに次いだのは韓国Samsung Electronicsで、その台数は600万台と、同28.1%減少。3位は米Amazon.comで、その出荷台数は220万台、前年同期に比べた伸び率は5421.7%(約55倍)だった。

 IDCによると、1~3月期におけるデタッチャブル型の出荷台数は約490万台だったが、これは前年同期から3桁の成長で、1~3月期としては過去最高の台数だった。

 この分野は米Microsoftが「Surface」シリーズの投入で市場を築いた。だがAppleが「iPad Pro」で参入し、わずかな期間ながらこの市場をリードするようになったと、IDCは指摘している。

[発表資料(2016年予測)]
[発表資料(2016年1~3月期実績)]