調査会社のアイ・ティ・アールは2015年6月2日、企業におけるモバイル端末の利用実態に関する調査結果を発表した。それによると、私物モバイル端末を業務利用している企業では、62%の企業が「多少は効果がある」と回答。「大いに効果がある」という企業も14.4%で、合計すると8割弱の企業で効果が実感されている結果となった。一方、「ほとんど効果がない」と「むしろ悪影響の方が大きい」という企業も15.6%に達し、同社では、期待したほどの効果が出ていない企業も多く存在していると指摘している。

 同社では、企業が私物のモバイル端末の業務利用(BYOD)を推進する理由についても調査。それによると、「使い慣れたデバイスを利用することによる業務効率・生産性の向上」と回答した企業が44.7%に達し、次いで「従業員のモチベーション向上」が40.3%、「災害・事故時における業務の継続」が37.9%と上位を占めた。個人が所有する使い慣れた端末を利用させることができれば、企業は端末の購入や運用、教育、サポートにかかるコストを抑えることができる。ただし同社では、コスト面だけではなく、国内企業においては東日本大震災の発生以降、業務の継続性を確保するための手段としてもBYODが注目されていると指摘した。

 一方、会社支給のタブレット端末のOSでは、iOSが55.2%と半数以上を占め、次いでAndroidが34.7%。一方でWndows 7は20.9%、Windows 8は19.3%と、Windows端末の利用率は20%程度にとどまった。ただし、「次期製品で候補にしたいOS」では、Windows 8が30.4%に達し、Androidの29.5%を上回り、iOSの41.6%に次いで第2位となった。同社では、Windows端末をモバイルで活用したいというニーズが高まっていると分析した。

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