国内中堅中小企業IT市場 前年比成長率予測:2015年~2020年
国内中堅中小企業IT市場 前年比成長率予測:2015年~2020年
出所:IDC Japan
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 調査会社のIDC Japanは2016年5月25日、国内の中堅中小企業向けIT市場に関する調査結果を発表した。それによると、2016年の市場規模は、前年と変わらず3兆7433億円で推移すると予測した。これは、従業員999人以下の企業を対象とした調査で、同社では国内の経済状況には海外経済の動きや円高などによる不透明感があると指摘。それにより、多くの中堅中小企業でIT支出が抑制傾向にあると分析した。

 同社では、従業員規模別にも調査を実施。それによると、2016年は小規模企業(従業員規模1~99人)以外の企業では小幅ながらプラス成長になると予測。小規模企業ではIT支出を抑制する企業が多い一方で、中小企業(従業員規模100~499人)、中堅企業(従業員規模500~999人)では、業績が好調な一部の企業でシステム刷新が継続するという。

 同社では、2017年以降は、2020年の「東京オリンピック/パラリンピック」開催を控えて、国内で積極的な投資が喚起されることから、各従業員規模の企業の業績が改善し、システム刷新、新規開発などが着手されると指摘。加えて、2020年の「Windows 7の延長サポート終了」に伴うPC更新需要もあって、IT支出は堅調に拡大すると予測した。

 ただし、同社では2020年の国内中堅中小企業IT市場は、前年までの積極的なIT支出の反動もありマイナス成長になると分析している。

 一方、同社は産業分野別にも調査。それによると、流通では「消費税対応(軽減税率対応を含む)」に加えて、インバウンド需要に伴う好調な業績からIT支出を拡大させる企業が増加しているという。

 また、情報サービス業では、業績が好調なインターネットサービス事業者でオムニチャネル化を支援するために顧客管理機能、配送機能などの強化を図っていると指摘。セキュリティ強化を実施している企業も多く、積極的にIT支出を継続していると分析した。

 製造では、円高の影響もありIT支出を抑制する企業が増加するという。同社では、2017年以降には各産業分野でプラス成長になると予測している。

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