調査会社のIDC Japanは2016年5月10日、国内中堅・中小企業のIT支出に関する調査結果を発表した。それによると、2016年度のIT支出予算が前年度から「増加する」と回答した企業は3分の1程度。2015年度のIT支出予算を「増加」と回答した企業の割合を若干下割ったという。約半数の企業が「同じ/変わらない」としていることから、2016年度においてもIT支出については慎重な中堅中小企業が依然として多いと分析した()。

図●中堅中小企業および大企業におけるIT支出予算の前年度増減(2015年度、2016年度)
図●中堅中小企業および大企業におけるIT支出予算の前年度増減(2015年度、2016年度)
出所:IDC Japan
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 同社は、中堅中小企業のIT支出動向についても調査した。それによると、従業員規模にかかわらず、セキュリティ関連を重点支出項目としている企業が多く、セキュリティ関連項目の中では「情報漏洩対策」を挙げる企業が最多だった。2016年度、2017年度のIT支出重点項目では「ID/アクセス管理強化」、「脅威管理強化」の優先順位が高まっているという。

 中堅中小企業の経営課題では「売上拡大」の回答率が昨年の調査と同様に最も高く、IT活用による効果が期待できる課題としても「売上拡大」を挙げる企業が最多となった。同社では、業績拡大を目的に戦略的なIT活用を図る中堅中小企業が今後、徐々に増加すると分析した。

 ただし同社は、小規模企業が「ITベンダーに不満を持つ点」として、「経営戦略に直結する相談ができない」を挙げる企業が比較的多いと指摘。小規模企業では、業績拡大を目的としたIT利活用を模索しているものの、ITベンダーからの適切な提案などが無いことが不満につながっていると分析。ITベンダーは、ユーザー企業に対して経営課題に関する相談を受ける体制を構築するとともに、課題解決につながるITソリューションの提案を積極的に行うことが重要であると分析している。

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