米IDCが現地時間2016年4月27日に公表したスマートフォン市場に関する調査によると、同年第1四半期(1~3月)の世界出荷台数(速報値)は3億3490万台となり、前年同期からの伸び率が0.2%にとどまった。この伸び率は同社が統計を取り始めて以来最も低い水準。IDCはその主な理由として、先進国市場でスマートフォンが高水準の飽和状態にあること、業界の上位2社である米Appleと韓国Samsung Electronicsの出荷台数が減少したことを挙げている。

 IDCによると、かつて爆発的な需要があった中国市場は、その勢いがすでにピークを過ぎており、スマートフォンの購買意欲は著しく低下している。同国における出荷台数の前年比伸び率は2013年時点で62.5%だったが、2015年は2.5%に低下した。

 2016年第1四半期のメーカー別出荷台数を見ると、Samsungが8190万台で首位を維持し、これにAppleが5120万台で次いだ。SamsungとAppleの出荷台数は前年実績からそれぞれ0.6%、16.3%減少した。ただしSamsungは「Galaxy S7」と「同S7 edge」が3月によく売れたほか、より低価格の「 J Series」も新興国市場で好調だった。

 一方、Appleの四半期出荷台数の前年割れはこれが初めてとなる。現行の「iPhone 6s」シリーズは多くの新機能が搭載されたものの、「iPhone 6」シリーズのユーザーの多くは新モデルへの買い替えを必要と感じていないようだとIDCは指摘している。新興国の低価格端末市場を狙った「iPhone SE」は、その価格が399ドルと依然高く、とりわけインドや中国などでは競合端末との競争に直面するという。

 メーカー別出荷台数で3位となったのは、中国Huawei Technologies(華為技術)で、その台数は前年同期比58.4%増の2750万台。同社は高価格帯端末と低価格帯端末の両面に注力するアプローチを取っているが、これが中国と欧州の多くの先進国市場で奏功したとIDCは見ている。

 そして4位以降は、これまでの中国Lenovo Group(聯想集団)と中国Xiaomi(小米科技)に代わり、中国Oppo Mobile Telecommunications(広東欧珀移動通信)と中国vivo(維沃移動通信)が入った。このうちOppoの出荷台数は1850万台。その前年同期比伸び率は153.2%と、上位5社の中で最も高い。またvivoの出荷台数は1430万台。伸び率は同123.8%と、こちらも高い水準となった。

 IDCによると、Oppoとvivoはともに2011年にスマートフォンの販売を始めた企業で、両社の主力製品は約250ドルの中価格帯端末。これに対しLenovoは2013年に150ドル以下の製品で、Xiaomiは2014年と2015年に200ドル以下の製品でシェアを伸ばしていた。中国におけるスマートフォンの普及が成熟期に入った今、消費者はこれまでLenovoやXiaomiが得意としていた低価格端末ではなく、より高価格の端末を求めるようになっているとIDCは分析している。

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