米IDCが現地時間2016年4月21日に公表したVR(仮想現実)とAR(拡張現実)のハードウエア製品市場に関するリポートによると、これらを合わせた今年(2016年)の出荷台数は1000万台に達する見通し。

 このうちVRは、韓国Samsung Electronics、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)、台湾HTC(宏達国際電子)、米Oculus VRといった主要メーカーの製品が市場をけん引し、今年の出荷台数は960万台、売上高は約23億ドルに達する見通し。一方ARハードウエアの出荷台数は40万台にとどまるが、こちらは今後数年かけて成長し、2020年には両者を合わせた出荷台数が1億1000万台を超えるとIDCは予測している。

 IDCはVR/AR用ハードウエア製品を3つのカテゴリーに分類している。1つは、スマートフォンを組み込み、その画面をディスプレーとして使用する「スクリーンレス・ビューワー」で、Samsungの「Gear VR」がこれに当たる。

 2つ目はパソコンやゲーム機などと接続して使う「テザード・ヘッドマウントディスプレー(HMD)」で、Oculus Riftなどがその代表的な製品。3つ目は本体にプロセッシング性能を備える「スタンドアロンHMD」で、こちらは米Microsoftの「HoloLens」がある。

 このうち、「Oculus Rift」や「PlayStation VR」、「HTC Vive」といったテザードHMDの2016年における合計出荷台数は200万台を超える見通し。これに、Samsungなどのスクリーンレス・ビューワーを加えると、インストールベース(利用台数)は相当の数になり、コンテンツクリエーターが作品を制作する十分な動機付けが出来はじめるとIDCは指摘している。

 これに対し、ARハードウエアはVRよりも開発が困難で、製品が広く市場に出回るにはより長い時間がかかるという。IDCのデバイス&ディスプレー部門バイスプレジデントのTom Mainelli氏は、「ARは人々のテクノロジーとの関わり方や、仕事の方法に大きな影響を与える技術」と指摘。「この分野では製品の迅速な市場投入よりも、的確な製品開発が重要。業界は引き続きゆっくりと着実なアプローチでハードウエアを開発する必要がある」と述べている。

 その一方でテクノロジー企業各社は今後、スマートフォンやタブレット端末などの既存ハードウエアを使ってARのソフトウエア技術を実験していくだろうと、同社は予測している。

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