モビリティソリューション導入状況別ROI
モビリティソリューション導入状況別ROI
(出所:IDC Japan)
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 調査会社のIDC Japanは2016年4月20日、モバイル機器を活用したモビリティソリューションを導入している国内企業の投資対効果(ROI:Return On Investment)に関する調査結果を発表した。それによると、3年間の利用におけるROIは297.8%と投資に対し約3倍の効果が出ていることが明らかになった。初期投資の回収にかかった期間は8.5カ月で、1年以内に回収できているという。

 同社は、企業におけるモビリティソリューションの導入レベルを電子メールやスケジュール管理を中心とした「コミュニケーションレベル」、電子メールなどに加えパッケージアプリケーションを利用し業務を行う「既製アプリケーションレベル」、アプリケーションを自社に合わせカスタマイズし生産性向上を目指した「自社開発アプリケーションレベル」の3つに分けられると指摘。各レベルでのROIと初期投資の回収期間を調査した。それによると、「コミュニケ―ションレベル」でのROIは278.9%、投資回収期間は9.1カ月。「既製アプリケーションレベル」でのROIは345.6%で投資回収期間は7.8カ月、「自社開発アプリケーションレベル」でのROIは301.6%、投資回収期間は8.0カ月と、「既製アプリケーションレベル」の企業のROIが最も高い結果となった。

 一方、同社は、モビリティソリューションの導入により、PCのみの運用と比べてどの程度、効率が改善されたかも調査。それによると、27.6%の改善効果が得られており、金額換算すると従業員1人当たり年間55万8377円のベネフィット(便益)を生み出していると分析した。同社では、モビリティソリューションの利用により、業務を行う場所がオフィスのみから社外に広がり、従業員が自分の都合に合わせて業務を遂行することができると指摘。そのため、ベネフィットが生まれやすいという。

 同社では、「モビリティソリューションの導入を検討している企業や、試験導入から本格導入のステップに入る企業では、投資対効果の可視化が最も重要な要素となる。この投資対効果を測定するためには、ROI分析による効果の定量化が必要である」と分析している。

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