シンクタンクの富士キメラ総研は2016年4月15日、データセンタービジネスの国内市場に関する調査結果を発表した。それによると、2015年の市場は1兆7585億円に達し、2020年には2015年比29.8%増の2兆2820億円にまで拡大すると予測した(図1)。

図1●データセンターサービスの国内市場
図1●データセンターサービスの国内市場
出所:富士キメラ
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 同社は、2020年までの動向として、データセンタービジネスの中でもIaaS/PaaSが同2.7倍の5263億円に増加すると分析。ハウジングや通信回線サービスなども拡大するという。一方でホスティングは微減となり、全体に占める割合は縮小すると指摘した。

 同社は、IaaS/PaaSの需要が急増している背景として、AWS(アマゾン ウェブ サービス)などのメガクラウドサービスの普及があると分析。従来のデータセンタービジネスが、ユーザー所有のITプロダクトをデータセンターで預かるハウジングが中心だったのに対し、クラウドコンピューティングの普及とともにITプロダクトを「所有する」から「利用する」という考えがユーザーに浸透。IaaS/PaaSのセキュリティや機能向上が進んだことなどから、情報系システムやインターネット関連システム、開発環境などで積極的に利用されているという。

 一方、ハウジングについて、同社は2015年時点で全体の30%弱を占めていると分析。IaaS/PaaSへの移行が進んでいるものの、依然としてデータセンタービジネスの主力であるという。同社は、基幹系システムなどの重要なシステムではハウジングの需要が高いため、今後も堅調な成長が予想されると指摘した。

 一方、同社は地域別のデータセンターサービス市場についても調査。それによると、2020年の関東エリア(茨城、神奈川、群馬、埼玉、千葉、東京、栃木)の市場規模は同30.5%増の1兆6061億円、関西エリアは同29.7%増の3518億円に達すると予測。データセンター関連の設備投資動向では、東京オリンピック・パラリンピックにともなうビル建設ラッシュの影響で建設技術者が不足し、2017年にはデータセンターの建設が停滞するという。その後、市場は回復し、2020年にはビル型データセンターの建設が大幅に増え、ITプロダクトやファシリティの需要も増加。2020年の設備投資額は同14.1%増の2894億円に達するという。

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