写真●企業会計審議会 第2回会計部会
写真●企業会計審議会 第2回会計部会
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 金融庁は2015年4月15日、IFRS(国際会計基準)を任意適用している(予定を含む)日本企業を対象とした実態調査結果「IFRS適用レポート」を公表。同日開催した企業会計審議会の第2回会計部会(写真)で説明した。情報システムの対応に要する期間は平均1年4カ月、対応コストは回答の過半数が「1億円以上」だった。

 IFRS適用レポートは、2014年6月24日に閣議決定した「日本再興戦略」改訂2014でIFRSの任意適用促進策の一つとして掲げたもの。2015年2月28日までにIFRSを任意適用した40社、任意適用予定を表明した29社(非上場企業2社を含む)の計69社に調査票を送付、65社から回答を得た。28社に対しては直接ヒアリングを実施した。

表計算ソフトで対応した企業も

 IFRS適用のメリットとして最も多かったのは「経営管理への寄与」(29社)。海外子会社などが多いため、経営管理に役立つとする回答がトップにつけた。IFRSのメリットとしてよく挙げられる「比較可能性の向上」は2位(15社)だった。

 情報システムに関しては、システム対応に要する期間で最も多かったのは「1年以上2年未満」(58社中17社)。「3年以上」が12社、「2年以上3年未満」が10社あったにもかかわらず、平均が1年4カ月となのは、11社が「なし」と回答したからだ。IFRS任意適用を目的としたシステム対応を実施しなかった理由として、「従来からシステムを整備していた」「表計算ソフトを利用して対応できた」などが挙がっていた。

 IFRSへの移行プロジェクト全体の期間は平均3年8カ月。最も多かったのは「5年以上6年未満」(61社中19社)で、「6年以上」も2社あった。一方で4社は「1年未満」と回答した。

 IFRS適用のために導入・更新したシステムとしては「連結システム」が20社で最も多かった。「固定資産システム」(11社)、「販売システム」(7社)と続く。回答では、日本の会計基準(日本基準)とIFRSの二重管理を実施する必要があるために、連結システムや固定資産管理システムを導入・更新するとした声が多かったという。