調査会社のIDC Japanは2016年4月11日、クライアント仮想化市場に関する調査結果を発表した。それによると、2012年以降の過去5年間におけるクライアント仮想化のROIは400%を超え、高い投資対効果が実証されているという。

 同社は、今回の調査において、クライアント仮想化導入企業(全体)と、その中でもワークスタイル変革を実施している企業とのROIを比較分析。それによると、クライアント仮想化導入企業全体のROIは421.2%、その中でワークスタイル変革を実施している企業のROIは453.2%となり、ワークスタイル変革実施企業のROIがより高い結果となった。同社は、投資額、ベネフィットについても、同様の傾向が見られると指摘。ワークスタイル変革実施企業では、全社目標が設定されているケースが多く、具体的な効果が「見える化」されやすいことが背景にあると分析した。

 同社は、ワークスタイル変革に取り組んでいる企業のクライアント仮想化における初期投資額、年次投資額、ベネフィットについても調査。それによると、それぞれエンドユーザー1人当たり初期投資額が22万5640円、年次投資額が5万7448円、ベネフィットが83万7447円だった(図1)。

図●〈参考資料〉クライアント仮想化製品のROIデータ:ワークスタイル変革実施企業
図●〈参考資料〉クライアント仮想化製品のROIデータ:ワークスタイル変革実施企業
出所:IDC Japan
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 一方、クライアント仮想化製品の従業員普及率(クライアント仮想化製品を使用している従業員の割合)は41.7%で、エンドユーザーの1日当たりの平均使用時間は約3.68時間(1日8時間勤務と想定した場合)に達した。

 同社では、「ITの有用性を測定する定量的指標としてROIは有効な指標の一つである。今後、適正かつ健全なIT投資/活用が経営戦略上不可欠であり、ROI分析によって、クライアント仮想化がエンドポイントにおける重要なIT施策の一つと捉えられる」と指摘している。

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