シンクタンクの矢野経済研究所は2015年4月10日、国内企業を対象に給与計算関連業務のアウトソーシングに関する調査結果を発表した。それによると、2013年度の給与計算アウトソーシング市場(サービス事業者売上高ベース)は、日系企業や中堅企業のサービスに対するニーズの顕在化と導入対象企業の裾野が拡大したことから、前年度比5.8%増の2465億円に達した。同社は、今後も市場は堅調に推移すると分析。2014年度には、同6.0%増の2613億円にまで拡大すると予測した。

 同社は、国内の給与計算アウトソーシングサービス市場について、堅調ながらもアウトソーシング率が約2割程度にとどまっていることを指摘。新規顧客開拓の余地が十分残されているマーケットであると分析している。

 2014年度には、日系企業向けのサービスが拡大し、併せて提供されるサービスの内容が給与計算サービスだけでなく、人事BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスへと深化。クラウドサービスによる人事業務処理のIT化も進展し、サービス導入先が中堅企業まで広がりをみせているという。

 このため、同市場は、2014年度も堅調を維持。今後も日系企業を中心とした人事担当者の定年退職の増加などにより、サービスへのニーズがさらに拡大すると予測した。2016年1月からの「マイナンバー」の利用開始もあり、定型業務の煩雑化や情報セキュリティ対応などから、人事管理業務を含めて業務委託する企業が増加するという。これらのことから、同社は、アウトソーシングサービスへのニーズが、今後ますます拡大していくと予測した。

 なお、今回の調査での給与計算アウトソーシング市場とは、企業の人事・総務部門に代わって、給与計算業務を請け負うアウトソーシングサービス全般のこと。月々の給与計算だけでなく、年末調整業務、社会保険関連業務、勤怠・人事管理システムと連動したサービスなど、周辺業務を含めたBPOサービス、給与計算業務と合わせて提供されるASP/SaaSなど各種のクラウドサービスも対象としている。ただし、業務請負が付随しない、システム単独で提供しているサービスについては除外している。

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